ルカ・ドンチッチ

ドンチッチを起点にミスマッチを突く攻めが機能

現地2月22日、レイカーズファンの願いが2つ同時にかなった。ルカ・ドンチッチが加わったチームが機能するバスケが見られたこと、そして『天敵』ナゲッツに勝つことだ。

レイカーズにとってナゲッツとの相性は最悪だ。昨シーズンはレギュラーシーズンで3戦全敗、プレーオフでは1勝しか挙げられず4敗を喫した。その前のシーズンはレギュラーシーズンこそ2勝2敗だったが、カンファレンスファイナルでは悪夢のスウィープ負け(4連敗)を喫している。

苦手意識を払拭すべく、ナゲッツ戦のたびに十分な準備を整えて気合い十分で試合に臨むのだが、ニコラ・ヨキッチを中心とする多彩な攻めを止められず、途中まで競ることができても終盤にガス欠に陥り、そのクラッチ力に屈するのが常だった。

しかし、この試合はこれまでとは全く別の流れになった。レイカーズに加入して4試合目のドンチッチは昨年末から引きずってきたふくらはぎの痛みから解放され、プレータイムの制限もなくなり、さらにはレブロン・ジェームズを始めとするチームメートが「ドンチッチをドンチッチらしくプレーさせよう」という意識を共有したことで、自分の得意なプレーに専念することができた。

31分の出場で32得点10リバウンド7アシスト。その数字より何倍も大きなインパクトをこの日のドンチッチはもたらしている。レブロンはパスの受け手に回り、ドンチッチがハンドラーとして攻撃を統率。クリスチャン・ブラウンやラッセル・ウェストブルックではドンチッチのポストアップを防ぐことができず、アーロン・ゴードンはレブロンに貼り付いている必要がある。ピック&ロールでズレを作り出し、ナゲッツのスイッチを見極めてミスマッチを使う。ドンチッチが作り出すこの攻撃は大いに機能した。

そしてドンチッチは、レイカーズに来て初めて感情を剥き出しにしてプレーした。素晴らしいシュートを決めれば吠え、ベンチを煽り、ファンにアピールする。審判のジャッジに文句を言っている時さえ楽しそうだった。

レイカーズのヘッドコーチ、JJ・レディックは「ルカのこの姿が見たかったんだ」と試合後に語った。すべてのレイカーズファンも同じ気持ちだろうし、ドンチッチ自身も「コート上で笑顔でプレーし、楽しんでいる僕を見れば分かると思う。自分らしくプレーできるのは幸せなことだ」と話す。

「まだプレーを学んでいるところだけど、オフェンスは日々良くなっていると思う。今日のプレー、ボールムーブは素晴らしかった。僕らの目標は優勝することで、それが唯一のゴールとなる。そのための要素は揃っていると感じているよ。チームのケミストリーをしっかり築くにはもう少し時間が必要だろうけど、今日見せたようにどんどん良くなっている。コーチが素晴らしいゲームプランを立ててくれて、僕らはそれを信じて高いレベルで遂行できた」

八村塁

八村塁はヨキッチを徹底マーク、レイカーズ快勝に貢献

ドンチッチを起点とするオフェンスはフィールドゴール成功率50.0%、3ポイントシュート成功率39.0%、43本のフィールドゴール成功のうち27にアシストが付くという効率の良さを見せた。しかし、ディフェンスはどうだろうか? ナゲッツの得点を100に抑えたこの試合、ディフェンス面で素晴らしい働きを見せたのが八村塁だ。厄介なヨキッチのマークを担当。八村が中心となってヨキッチに7本のシュートしか打たせず12得点に抑え込み、10アシストを記録されたが同時に6つのターンオーバーを引き出している。

死角のはずなのにゴードンのカットインを察知しており、ピンポイントのパスを合わされる場面はあった。そういった目立つアシストはあっても、パワーでゴール下まで押し込まれてイージーなゴール下で得点を重ねるプレーをやらせない。ヨキッチに攻めさせず、ボールを手放させた時点で八村の勝ちだった。

レイカーズのディフェンスプランは、ヨキッチとマレーに攻めさせず、他の選手にジャンプシュートを打たせること。八村を中心とするディフェンスはナゲッツの攻めを窮屈なその方向へと追い込んだ。昨シーズンの対戦でも八村はヨキッチのマークを何度か経験しているが、今回ほど抑え込んだことはない。

八村だけでなくドリアン・フィニー・スミスやジャクソン・ヘイズ、6分のみの出場で5つのファウルを重ねたジャレッド・バンダービルドも強度十分のディフェンスでチームを支えた。ドンチッチが輝きを放ち、他の選手がハードワークを貫いて、攻守が噛み合ってのナゲッツ相手の快勝は、レイカーズの士気をこれ以上ないほどに高めるものだ。