膝のケガで出遅れるも、プレーオフに向けて準備万端
現地4月13日のレギュラーシーズン最終戦、クリッパーズは敵地でウォリアーズと対戦し、オーバータイムにもつれる熱戦を124-119で制した。この結果、西カンファレンス5位を確定させ、プレーオフのファーストラウンドではナゲッツと対戦することになった。
クリッパーズはレギュラーシーズンの82試合を通してチーム力を高めてきた。昨シーズンのプレーオフではマーベリックスとのファーストラウンド敗退。オフにはポール・ジョージが退団し、カワイ・レナードが右膝のケガにより無期限の戦線離脱となったことで、新たな本拠地インテュイット・ドームで開幕を迎えてもクリッパーズへの注目度と期待値は上がらなかった。
それでもタロン・ルーの下、クリッパーズは粘り強く戦えるチームへと成長していく。ノーマン・パウエルにイビチャ・ズバッツといった選手たちが、カワイ不在の状況で『脇役』の殻を破り、チームを勝たせる仕事をやり始めた。だからと言って派手なプレーをするわけではなく、自分のスタイルを貫きながら、今まで以上にアグレッシブさを出すことで結果を残した。
そしてジェームズ・ハーデンは、ネッツとセブンティシクサーズでの度重なるケガの連鎖から抜け出し、レギュラーシーズン78試合出場とフル回転。ロケッツ時代のような何から何まで自分でやる全権のエースではなく、かといってチームメートに譲歩しすぎたここ数年とも違い、新たなバランスを見いだしてチームを引っ張った。
カワイは今年1月にようやく初出場。その後も長らくプレータイムに制限を設けて膝の様子を確認しながらプレーを続けてきた。カワイ不在の間にクリッパーズは攻守の最適なバランスを見いだしており、カワイはそれを崩させて自分がエースとして振る舞うのではなく、自分抜きで作り上げたチームのバランスに合わせる協調性を見せた。
カワイが復帰した時点での戦績は19勝15敗。その後も勝ったり負けたりを繰り返してきたが、レギュラーシーズンも終盤を迎えた3月になって、様々な要素が噛み合った。その大きな要因に、カワイ自身の復調、そしてクリッパーズのスタイルへの順応が挙げられる。現地3月5日以降は18勝3敗。最後はウォリアーズ戦まで8連勝で、一気に順位を上げた。
延長にもつれたウォリアーズ戦、ハーデンが39得点10アシスト、カワイが33得点7アシストを記録したが、特筆すべきは先のキングス戦で42分、今回は47分と、プレーオフと変わらぬ強度の試合でカワイが攻守に全力でプレーできていることだ。
ウォリアーズ戦に勝利した後、控え目なカワイは大喜びこそしなかったものの、穏やかな笑顔とともにこう語った。「今日だけじゃなくこの3週間ずっと、僕たちはプレーオフのような意識を持ち、毎試合を全力で戦ってきた。プレーインを回避してプレーオフに出られることを誇りに思うよ」
そして彼は、周囲への感謝を忘れなかった。「僕が健康を取り戻すまでクラブが全面的にサポートしてくれた。そういう組織にいられる幸せを感じている。外部の協力も取り入れて、最善の環境を整えてくれた。でも、まだ終わっちゃいない。ここから先のプレーオフを勝ち抜きたいし、その後のオフシーズンまで健康に過ごしたいと思っている」