
群馬とのフィジカルな死闘を勝ち抜き三遠が連勝
4月13日、三遠ネオフェニックスは敵地で群馬クレインサンダーズに83-77で勝利した。これで5連勝、2シーズン連続の中地区優勝が目の前まで来ている。
前日の第1戦と同様に、第1クォーターは群馬に先行を許したが、第2クォーターでは高確率で3ポイントシュートを沈めるオフェンス力を発揮して逆転する。終盤まで群馬の追い上げに遭いながらも、要所での勝負強さを見せて勝利を手にした。
試合後の大野篤史ヘッドコーチは「遂行力はかなり低かったです」と話し、ゲームプランよりも自身の判断を優先してしまう選手がいたことを課題として挙げた。
どこからでも得点できる三遠のオフェンスの起点になるのがガードの佐々木隆成だ。日本代表も経験して名実ともに三遠の看板選手となっている佐々木は、この試合でも抜群の得点能力とクリエイト力を示した。
序盤こそ波に乗れずセカンドユニットに頼る場面もあったが、ビッグクォーターとなった第2クォーターではフィールドゴール成功率100%に加え、5アシストを記録。勝敗を分けた最終クォーターにも10得点を挙げ、ガードとしてチームを勝利に導いた。
しかし、佐々木もチャンピオンシップを視野に入れて、大野ヘッドコーチと同じく課題とともに試合を振り返った。「勝てたことは良かったですが、もっとタフに戦わないとチャンピオンシップでは苦しくなります。チームとしてさらに成長し、修正してやっていきます」

アシスト数リーグトップも「特別変わった感覚はない」
佐々木は試合展開を俯瞰でとらえ、流れをコントロールする試合巧者ぶりを発揮する。この試合の最終クォーター、トレイ・ジョーンズの3ポイントシュートが決まって迎えたオフィシャルタイムアウトが終わると、すぐさま3ポイントシュートを沈めて群馬の追い上げムードを断ち切った。こうした要所での活躍は、この場面に限らず何度も見られた。
「相手が流れに乗りそうな雰囲気は感覚的に感じるので、相手が何をやられたら嫌なのかを考えながらプレーしています。昨日と今日は上手くいきましたけど、そうはいかない時もあるので、チームとしてどう戦っていくかが今後の課題です」
今シーズンここまで、佐々木の6.5アシストはリーグトップの数字で、昨シーズンの3.0から倍増している。だが、本人は「特別プレースタイルが変わった感覚はありません。基本的に僕はシュートファーストでプレーしているので、シュートを止めにこられたらパスという感じです」と笑顔で語る。
「周りの選手が決めてくれているのが大きくて、僕が思ったところにパスが出せなくてもヤン(ヤンテ・メイテン)が取って決めてくれたり、一球(津屋)が決めてくれたり、そういうプレーが増えただけという感覚です」と語る彼にとって、アシスト数はガードとしての自分の功績ではなくチームプレーの成果なのだ。

「いろんな選手が意見を出し合えていている」
三遠は2週間前の京都ハンナリーズ戦で今シーズン初の連敗を喫したが、その後は5連勝と立て直し、ここまで44勝7敗とリーグ首位を守っている。
「上手くいかない時はバスケ以外のことに意識が向いてしまうこともあるので、コート上でハドルを組むことが大事です。京都での敗戦以降、ハドルの回数は増えました。チームで同じ方向を向けるようにやっていきます」と佐々木は語り、敗戦から学びを得てチームの成長に繋げている。
レギュラーシーズンで積み重ねたものの成果が問われるのがチャンピオンシップの舞台であり、昨シーズンは中地区を独走したものの、クォーターファイナルで広島ドラゴンフライズに敗れた。今シーズンはさらに勝率を上げて、その強さはさらに圧倒的なものとなっているが、1年前からの成長を佐々木はどう感じているのだろうか。
「チームの雰囲気は良いです。ハーフタイムでも、いろんな選手が意見を出し合っているのが昨シーズンより良くなっている部分です」と、戦術云々よりもケミストリーの向上を佐々木は挙げた。
圧倒的なオフェンス力、この試合でも見せたセカンドユニットの厚み、そして劣勢からの修正力など、今の好調の要因は多いが、大野ヘッドコーチも佐々木も慢心することなく、さらなるチーム力の向上に目を向けている。昨シーズンのリベンジを果たし、初の王座への駆け上がる準備はできている。