サンロッカーズ渋谷

長野誠史の突破力で三河が主導権

サンロッカーズ渋谷vsシーホース三河の第2戦は序盤から激しい点の取り合いとなった。

SR渋谷はベンドラメ礼生とライアン・ケリーが9得点ずつを挙げ、三河も金丸晃輔とダバンテ・ガードナーが12得点を挙げるなど、決めるべき選手が互いに決め合い、互角の展開が続いた。だが、第3クォーターに入るとSR渋谷の一瞬の隙を突いた三河が抜け出す。

2点ビハインドで第3クォーターを迎えた三河はベンドラメのドライブや石井講祐の速攻を許すも、先発に抜擢された長野誠史がコースト・トゥ・コーストを決め、さらに前線から当たってくるマークマンを振り切り、縦への突破ですぐに得点を返した。

SR渋谷はコンスタントに得点していたが、この日10得点を奪われた長野に縦を破られたことでリズムを失っていった。SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチも「プレッシャーをかけてカウンターを食らうのはある程度仕方がないが、残りの4人でリングを守らないと、プレッシャーが弱くなってしまう。今日は長野選手がプレッシャーに負けず、縦に切ってきて、やられ方が良くない時間帯があった」と、この第3クォーターの時間帯を敗因に挙げた。

長野がリズムを生んだことで三河はパスの周りが良くなり、オフェンスが活性化。スペーシングを生かし、金丸が外から射抜けば、ガードナーがしっかりとインサイドで得点を重ね、12-2のランを見せるなど2桁のリードを奪って、最終クォーターを迎えた。

最終クォーターに入っても連続得点が奪えずに、なかなか点差が縮まらないSR渋谷だったが、この停滞ムードをベテランの野口大介が変えた。残り8分、13点ビハインドの場面で5人全員を交代させたSR渋谷は、野口がプットバックでセカンドチャンスを挙げ、直後のディフェンスではパスカットからワンマン速攻を決める。さらに3ポイントシュートも沈めると、チームも野口に呼応するようにアグレッシブさを取り戻し、ベンドラメのドライブで残り34秒で1点差まで詰め寄った。

サンロッカーズ渋谷

ベンドラメ「ただ正面にいるだけのディフェンスに」

だが、SR渋谷の勢いもここまでだった。直後ガードナーからオフェンスファウルを誘発しポゼッションを得るも、ケリーのシュートが外れてしまう。ファウルゲームに持ち込み、金丸がフリースローを1本失敗したことで逆転の芽が生まれたが、逆転を狙ったケリーの3ポイントシュートはセドリック・シモンズに阻まれ、最終スコア87-89で連日の惜敗となった。

勝利した三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「自滅し、激しいアグレッシブなディフェンスで追いつかれてきましたが、そこで我慢してうまく逃げ切れました。特に若い選手にとって僅差での勝ちは自信になる」とコメントした。

SR渋谷は前線から激しくプレッシャーをかけることでリズムを作っていくチーム。だが、長野に縦を割られたことに加え、ガードナーがボール運びを担当したことも影響し、リズムが作れなかったとベンドラメは語った。

「縦に割られるシチュエーションが多くなってくると、僕たちもプレッシャーがかけずらくなって、気づいたらそんなにプレッシャーがかからず、ただ正面にいるだけのディフェンスになってしまう。ビッグマンにボールを運ばれる、ああいうペースを作られると僕たちは弱いと思う」

昨シーズンと同様に、ガードナーと金丸を擁する三河のオフェンス力は高く、伊佐ヘッドコーチも「リーグで1番か2番のオフェンス力がある三河さんに対して、失点が多いことはしょうがない部分はある」と言う。それでも、諸刃の剣となりつつあるプレッシャーディフェンスの精度を高めなければ、激戦の東地区では優勝争いから遠のいてしまう。