ハードワークを前面に押し出すスタイルを披露
NBAはポストシーズンに突入した。プレーイン・トーナメントの東カンファレンス第7シード決定戦では、マジックがホークスに120-95と完勝した。
レギュラーシーズン前半戦にパオロ・バンケロとフランツ・バグナーの両エースが相次いで戦線離脱し、後半戦はジェイレン・サッグスをケガで欠いたマジックだが、消化試合となった最終戦を除くレギュラーシーズンのラスト11試合を9勝2敗で締めていた。この戦績に加えて、精神的支柱のサッグスを欠いてもハードワークを前面に押し出すスタイルを貫けるようになったことで、マジックには勢いがあった。
ケンテイビアス・コールドウェル・ポープは、この試合を前に「今の僕たちは、何か大きなことをやってのけるポテンシャルがある」とポストシーズンへの自信を語ったが、その通りの試合展開となった。
サッグス不在で先発ポイントガードの先発を務めるのはコーリー・ジョセフ。ベテランの彼が最初に攻守のトーンを設定すると、激しいディフェンスを持ち味とするアンソニー・ブラックがジョセフより多くのプレータイムを得て、最前線で堅守を引っ張る。第1クォーターを32-17として先手を取ったマジックが最大22点リードと勢いに乗った。
第3クォーターにシュートが決まらなくなり3点差まで詰め寄られるも、第4クォーターの頭から再び攻守が噛み合う。この時間帯を引っ張ったのはベンチの得点力を担うコール・アンソニーだった。ディープスリーをねじ込み、ペイントエリアに強引なドライブを仕掛けてディフェンスを引き寄せてのパスで味方のイージーダンクをアシスト。このビッグプレー連発を機にマジックのシュートが当たりを取り戻し、あっという間に点差を広げた。
「この仲間たちと一緒にプレーできるのが楽しい」
ウェンデル・カーターJr.が19得点、バンケロが17得点に加えてダブルチームを引き付けてのパスで7アシスト、フランツ・バグナーは13得点13リバウンドのダブル・ダブルを記録。これにベンチから出たコール・アンソニーの26得点、アンソニー・ブラックの16得点が加わり、どこからでも得点できるオフェンスが機能した。
生命線のディフェンスも見事に機能し、今シーズンを通して得点だけでなくプレーメーカーとしても大きな成長を見せたトレイ・ヤングに自由を与えない。ホークスのフィールドゴール成功率は38.1%、3ポイントシュート成功率は19.0%と完全に封じ込まれた。ヤングは28得点を記録したものの、レギュラーシーズンでリーグトップの平均11.6を記録したアシストは6に留まった。試合終盤にはフラストレーションから2度のテクニカルファウルで退場となっている。
コール・アンソニーは「素晴らしいプレーができた」と胸を張る。「良いスタートを切り、相手が盛り返す時間帯もあったけど、そこを耐えしのいだ後は流れを戻させなかった。オフェンスの良いホークスを90点台に抑えた。つまり、僕らのゲームをして勝ったんだ」
プレーオフのファーストラウンドではセルティックスに挑む。アンソニーは「楽しみだよ」と表情をほころばせた。「実は昨シーズンにセルティックスが優勝を決めた試合をボストンで見ていたんだ。僕がこれまで見た中でも一番盛り上がっていた。それを体感して『この舞台でプレーしたい』と本気で思った。そのボストンで試合ができることに興奮しているよ」
「僕らは本当に結束の強いチームだ。隣にいる者の活躍を本気で喜ぶことのできる選手が揃っていて、この仲間たちと一緒にプレーできるのは本当に楽しい。このチームの一員であることに感謝しているし、このチームでプレーオフを戦えることに感謝しているよ」