フランツ・バグナー

「苦しいこの時期を、強くなるために利用してみせる」

マジックは開幕早々にパオロ・バンケロが腹筋断裂で戦線離脱となったが、その分の得点をフランツ・バグナーが補うことで結果を残してきた。ただ、そのバグナーも腹筋断裂のケガを負い、さすがにチームは失速した。年明けにバンケロが復帰したが、そこからチームは1勝6敗と浮上できていない。現地1月23日にはバグナーまで復帰して、久々に両エースが揃ったにもかかわらず、再建中のブレイザーズに79得点しか奪えず79-101と大敗した。

長いシーズンに浮き沈みは付き物だが、エースのバンケロが復帰しても負け続けており、これで23勝23敗と貯金をすべて吐き出した形に。ブレイザーズ戦ではバンケロがフィールドゴール14本中成功わずか1の8得点と絶不調。ワグナーは復帰初戦で20得点を挙げたが、こちらもシュートこそ入ったものの動きは重く、まだまだブランクを感じさせた。

しかし、マジックのヘッドコーチを務めるジャマール・モズリーに焦りはない。復帰した2人にはプレータイムの制限があり、再発しやすい筋肉のケガだけにコンディションを確認しながらプレーしている状況。他にも背中を痛めているジェイレン・サッグス、脳震盪プロトコルのゴガ・ビタゼ、体調不良でコール・アンソニーがブレイザーズ戦を欠場していた。

指揮官モズリーはこう話す。「選手が出たり入ったりする状況は難しいものだ。出場時間の制限もあり、プレータイム以外にも過度の負担を避けなければいけない。ケガ人は戻って来つつあるが、この段階ではまだ厳しいね」

バンケロはなかなか調子が上がらないが、モズリーは「この時期には我慢と寛容が必要だ」と責めたりはしない。「これだけ長く試合から離れていれば、リズムを取り戻すのに時間がかかる。その上で自分が抱える問題に目を向け、そこから学び、次の試合に向けてどう修正できるかを考える。シーズンのこの時期は練習に使える時間が限られるから、試合の中でリズムを取り戻さなければならない。我々はパオロと一緒に課題を認識して修正していくよ」

フランツ・バグナーは大敗を淡々と受け入れ、あくまで前向きにこう語る。「長くプレーから遠ざかっていたから試合前はかなり緊張した。試合勘は鈍っていたけど、それは仕方ない。今日のところはまたプレーできて良かった。まずはコートに立ち、バスケを楽しめたことで良しとするよ。いずれリズムは取り戻せると思う。今はチームが苦戦しているからこそ、僕らは団結しなきゃいけない。まだシーズンは長いから、必要以上に落ち込みはしないよ。きっと本来の力を取り戻せると信じている」

マジックはディフェンスのチームであり、ハードワークのチームだ。バンケロやバグナーのスタッツは目立つが、その強さの本質は彼らの個人能力ではなくグループで発揮されるもの。チーム全体のコンディションが悪い今、バンケロやバグナーが復帰してもすべてが解決するわけではない。

それでも2人はいずれリズムを取り戻すし、モリッツ・バグナー以外はケガ人も戻って来る。その時にチームのポテンシャルを発揮すべく、それぞれが抱える課題にフォーカスしている。

バグナーは言った。「長いシーズンには浮き沈みが必ずあるものだし、それは僕らにとって成長の機会だ。苦しいこの時期を、強くなるために利用してみせる」