ジャ・モラント「あんなヌルいプレーは二度としない」
レギュラーシーズンで68勝14敗とリーグ最高の成績を残したサンダーは、プレーオフでもその強さを発揮した。攻守両面で戦力が充実し、戦い方のバリエーションも豊富。グリズリーズとのファーストラウンド初戦で、エースのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーがフィールドゴール13本中4本成功の15得点とシュートタッチが絶不調でも、51点差の圧勝を収めた。
プレーインは体力的には厳しいが、一発勝負を勝ち抜いた勢いが生まれるもの。しかし、サンダーにそれは通用しなかった。足首のケガを抱えながら22得点9アシストでマーベリックスを打倒したジャ・モラントは、この試合ではほとんど何もできなかった。ベンチメンバーを出す時間帯に若い選手たちを引っ張るべくコートに残ったデズモンド・ベインは、得失点差-51という屈辱的な数字を記録した。
第1クォーターで32-20と2桁のリードを奪ったサンダーは、第2クォーター開始からの約5分間で23-2と怒涛のランを見せる。グリズリーズがどれだけボールを回しても、ローテーションが早くて全くズレを作ることができず、苦し紛れのシュートを打てば確実にリバウンドを確保されて速攻を浴びる。速攻をスローダウンさせるために自陣に残るのはスコッティ・ピッペンJr.やベインだったが、彼らのフィジカルではサンダーの縦への突進力を止められなかった。セットオフェンスでもジェイレン・ウィリアムズを起点に、ドライブからのキックアウト、エクストラパスまでが瞬時に繋がり、ワイドオープンのチャンスとなる。グリズリーズはたまらず一度ベンチに下げていたモラントを戻したが、その勢いは個人で解決できるレベルを超えていた。逆にこの時間帯、サンダーはシェイとルーゲンツ・ドートがベンチにいた。
「これがチームだ」とサンダー指揮官のマーク・ダグノートは語る。「誰かに頼るべきじゃない。ドートは素晴らしいディフェンダーだが、彼に依存したディフェンスをするべきじゃない。シェイはシュートタッチが悪かったが、チーム戦術通りにプレーして相手のダブルチームに対処した。チームは互いに支え、補い合うもの。個々の積み上げよりもチーム全体で力を発揮できるように全員が集中するんだ」
シェイ「素晴らしい仲間がいる。何の驚きもないよ」
68-36とサンダーの32点リードで嵐のような前半が終わった時点で、勝敗は決したようなものだった。それでもサンダーは第3クォーターも44-27と容赦ない戦いぶりを見せ、スタメンが誰もプレーしなかった第4クォーターでさえ19-17と上回った。
それでもダグノートは「グリズリーズは第2戦で今日よりずっと良いプレーをするだろう。今日よりコンディションはずっと良くなるはずだから」と気を引き締めた。
そして、グリズリーズの面々もそれを誓う。ヘッドコーチのトゥオマス・イーザロは「幸いなことに、この先の道は一つだけ、上に行くだけだ。問題は山ほどあったが、分析し、学び、修正してみせる」と言い、ジャ・モラントは「あんなヌルいプレーは二度としない。次で勝てば1勝1敗、今日の結果はチャラになる」と語った。
勝ったサンダーも敗れたグリズリーズも今後のシリーズに向けて緊張感を保ち続けた中で、シュートタッチが悪く、それを立て直す間もなく試合が片付いてしまったことで23分のプレーに留まったシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは落ち着いた口調でこう語った。「素晴らしい仲間がいることはずっと前から分かっている。今日のことには何の驚きもないよ」