
「負けはしたものの良いところもたくさんあった」
4月16日、シーホース三河はアウェーでアルバルク東京と対戦し、ロースコアの最後までもつれる激闘を67-73で落としてしまった。
試合は序盤から両チームとも相手のディフェンスプレッシャーにリズムを崩し、思うようにオフェンスを展開できない。重苦しい流れの中、三河は19得点を挙げたジェイク・レイマンの活躍などで、試合残り3分で5点のリードを奪う。だが、直後に守備がわずかに緩んだ隙をつかれ3ポイントシュートを連続で決められると、ここ一番でのターンオーバーなど最後にプレーの遂行力が落ちてしまった。
34勝19敗で中地区3位の三河と、同地区2位のA東京とのゲーム差は残り8試合で4と開き、ひっくり返すのが非現実的となった。今回の負けは大きな痛手となったが、内容面で言えば悲観すべきことばかりではない。A東京の得意とするロースコアの展開に持ち込まれながら、終盤まで我慢強くくらいついた。
キャプテンを務める須田侑太郎も「残り3分で5点勝っていた中、ターンオーバーが続いてタフな負けとなってしまったのは残念でした」と振り返ると同時に、収穫を語る。
「でもアルバルクさんのペースの試合となる中、しっかりと我慢し、勝機を見出してあと一歩まで迫れました。最後の苦しい時、よりチームとして頑張ろうと一体感を感じることができました。チャンピオンシップでは、こういう我慢の試合になっていくと思います。負けはしたものの良いところもたくさんあった点にも目を向けていきたいです」

「シーズンを通して、良いステップを踏めている」
試合中、アンラッキーな形でのアンスポーツマンライクファウルなど三河にとって、何度かチームの士気が落ちてもおかしくない場面があった。しかし、選手たちはコミュニケーションを取り合ってそこで崩れることはなかった。
また、最後までハードワークを続けることができた。勝敗がほぼ決した終了間際、ダバンテ・ガードナーがパスカットをしようとダイブした場面は、チームの諦めない姿勢を象徴するプレーだった。須田もチームの結束力、メンタル面での進歩に確かな手応えを得ている。「主力がほぼ変わらない去年からのベースがありながら、シーズン当初はちょっと調子が悪くなると空中分解して、すぐベクトルが違う方向に向いてしまうことがありました。それがダバンテのダイブが示すように、シーズンを通して、良いステップを踏めていると思います」
現在、三河は上位2チームがチャンピオンシップ出場のワイルドカード争いで、群馬クレインサンダーズと同率も1位につけ、3位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとは残り8試合で4ゲーム差と一見すると安全圏内だ。だが、名古屋Dとはレギュラーシーズン最終節に直接対決を2試合残し、さらに明日からはリーグ最高勝率の三遠ネオフェニックスとのアウェー連戦とタフな日程だ。
今の三河は、少しでも歯車が崩れると、一気にチャンピオンシップ出場すら逃してしまう正念場。だが、須田は「こういう状況だからこそ、出場権を勝ち取れれば、勢いを持ってチャンピオンシップに臨めます。昨シーズン、優勝した広島さんもギリギリで出場を決め、勢いのまま行ったという印象があります」と、苦境を乗り越えたからこそ得られるプラスを語る。
ホーム開催は大きなアドバンテージとなるが、2戦先勝のチャンピオンシップにおいては何よりも勢いが大事となってくる。レギュラーシーズン残り8試合に向け、須田は「チャンピオンシップは出場さえできれば、どのチームも何かを起こせる可能性があります。チームとしての完成度を最後まで高めていきたい。今日、負けはしましたが、成長の片鱗をチームとして感じられたことが良かったです」と締めくくった。
この須田の発言を強がりと感じることはできない。それくらい今の三河は、最後に大化けするワクワク感を見せてくれている。