ジュリアス・ランドル

ラスト23秒の攻め、バトラーのマークを振り切りゲームウィナーを沈める

「マイアミでのフライデーナイトだ。エネルギーはすさまじかったね」とジュリアス・ランドルは言う。

最大17点のビハインドがあってもニックスはあきらめずにヒートに食らい付き、1ポゼッション差の緊迫した終盤へと持ち込んだ。残り1分、ランドルがバム・アデバヨをフィジカルで押し込んでターンアラウンドジャンパーを決め、ファウルも受けてボーナススローを獲得。119-116とニックスがリードを奪った。

しかし、タイラー・ヒーローにフリースロー2本を決められて1点差に。さらにジェイレン・ブランソンからランドルにパスが渡った瞬間に、マークに付いていたジミー・バトラーに加えてヒーローも飛び込むブリッツでスティールを許し、そのままヒーローにシュートを決められてしまう。ブランソンとランドル、チームの中心である2人のミスで逆転を許し、メンタル的に落ちても仕方のないところだったが、そうはならなかった。

ラスト23秒でのポゼッション、ブランソンはビクター・オラディポとヒーローのダブルチームを崩せず、ランドルにパスを回す。そのランドルには終盤の圧倒的な勝負強さを誇るバトラーが付いていた。ランドルはパスを受け取る際に一度ファンブルし、ドリブルを始めたところでバトラーに手を出されて一度ボールをこぼしている。

何とかボールを拾い上げたものの、周囲を確認する余裕はなく、ショットクロックも残っていない状況で、ランドルはシュートを放った。強引すぎるシュートではあったが、これが完璧にリムをとらえ、土壇場でニックスが122-120と逆転した。

試合終了のブザーとともにランドルは雄叫びを上げ、チームメートたちが祝福に集まった。そこでランドルが充実の笑みとともに発したのが冒頭の言葉だ。

ランドルはラストショットについてこう語る。「バトラーに上手くボールを引っ掛けられたけど、僕はあきらめなかった。最後まで自分を信じられたのが良い結果を生んだ。ミスはどうやっても起きるものだから、ミスをしても次のプレー、次のポゼッションに集中するんだ」

ニックスはこれで連勝を8へと伸ばした。一方のヒートはここ7試合で1勝6敗と失速している。ヘッドコーチのエリック・スポールストラはランドルのラストショットについて「あのプレーを100回やったら、99回はウチにとって良い結果になる」とツキのなさを嘆いたが、バトラーは「負けたということは、僕らが勝ちに値しなかったということだ」と話した。

ランドルは3ポイントシュート13本中8本成功を含む、キャリアハイに並ぶ43得点を記録。ニックスはフィールドゴール成功率が驚異の58.0%(81本中41本成功)で、ファストブレイクからの得点が23、相手のターンオーバーからの得点が24と、ディフェンスからオフェンスへと良いリズムを生み出したことで、チーム全体が躍動していた。

「僕らには強い結び付きがある。一緒に時間を過ごし、お互いのことを知り、お互いのことを考えている。それがコート上のパフォーマンスにも良い影響を与えているんだと思う」とランドルは自信ありげに話す。『強いニックス』が戻ってきた感のある今、彼らの連勝はどこまで伸びるのだろうか。