「NBAでの現役生活が終わった後も教育は残る」
ブリガムヤング大のAJ・ディバンツァは、6月に行われるNBAドラフトでの全体1位指名最有力候補だ。シカゴで行われたドラフトコンバインで身長204cm、体重98kg、ウイングスパンは214cm、スタンディングリーチは269cmを記録。垂直跳びは助走ありで106cm、助走なしで85cm、3/4コートスプリントは3.14秒など、上位指名候補の中でもトップクラスの身体能力を披露した。
現地5月13日のメディア対応には、他のドラフト候補が練習を終えて身軽なジャージ姿でいる中で、ディバンツァはチェック柄のスーツにネクタイを締めて登場した。「今日は午前中にいくつかのチームとの面談もあった。僕は13歳からバスケを仕事だと思ってプレーしてきたけど、実際には今まで働いた経験がないから、これは就職面接みたいなものだと考えている。実は父から『就職面接にはスーツを着て行くものだ』と言われた(笑)」と語る。
体格や運動能力からジェイソン・テイタムと比較されるディバンツァは、ボストン郊外のブロックトンの出身で、セルティックスファンとして育った。テイタムと比べられることを光栄に感じながらも、「ドラフトされる以上、セルティックスを応援できるのは今シーズンが最後になる。心の中には残り続けるけど、ファンとしての顔はもう出さないようにするよ」と彼は語る。
子供の頃に真似をした選手はトレイシー・マクレディで、好きな選手はケビン・デュラント。1位指名権を獲得したウィザーズ行きが最有力候補だが、ユタ州のブリガムヤング大のスター選手であるディバンツァを獲得するために、2位指名権を持つジャズが動く可能性もある。
ただ、どこでプレーするにしても、必要とされる役割をこなすのがディバンツァの考えだ。「ガードとしてボールを運ぶ役割もできるし、KD(デュラント)のようにボールを運びながら自分で得点したり周りを生かすこともできる。アンソニー・エドワーズのように、オンボールでもオフボールでも得点できる。チームの求めに応じて幅広い役割をこなすつもりだ。得点能力について触れられることが多いけど、ペイントエリアに切り込んでパスも出せるから、プレーメークにも注目してほしい」と彼は自分をアピールした。
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— AJ Dybantsa (@AJ_Dybantsa) May 1, 2026
全体1位指名候補としての並外れたポテンシャルはもちろん、その人間性もディバンツァの魅力だ。先月、NBAドラフトへのエントリーを表明した時点で、彼は『AJ・ディバンツァ基金』を立ち上げて、両親とともに会見を行った。その会場となったデイビスK-8スクールは、彼が通った小学校だ。ここを拠点として、子供たちに質の良い教育の機会を与えるのが基金の目的だと彼は熱く語った。
「子供たちが大学まで行けるよう支援するのが基金の目的だ。今日ここにいる子供たちに伝えたいのは『学校へ行こう』だ。ありきたりに思えるかもしれないけど、大切なことだ。僕は『将来何になりたいか』を発表する授業で『バスケ選手になりたい』と自分の夢を書いた。それを先生が信じて後押ししてくれたおかげで、僕は走り続けることができた。ここで会見をやるのは、ここが僕の教育の原点だからだ」
ディバンツァは『学校へ行こう』を子供たちへのメッセージとするだけでなく、自分も実践しようとしている。「母さんは僕に大学を卒業してほしいと願っていた。もともと両親がバスケ選手としての僕に期待していたのは、NBA選手という現実離れした夢じゃなく、大学に行くための奨学金を得ることだった。だから僕はNBAに進んでもブリガムヤング大に残り、オンラインで授業を受けて卒業すると約束した。少し時間はかかるけど、4年後には卒業できる見込みだ」
ドラフトエントリーについてのメディアとの質疑応答が一段落すると、ディバンツァは後ろで見学する子供たちにも質問を募り、シュート力向上の秘訣や試合前のルーティーン、好きな料理や好きな授業について楽しそうに語った。
「僕はバスケで特別な存在になりつつあり、多くの子供たちが僕の背中を追い掛けたいと思ってくれていることを自覚している。現実的に考えると誰もがNBAに行けるわけじゃない。でも、教育は誰にでも開かれていて、公立校から奨学金を得る道もある。教育はNBAが連れていってくれる場所よりもっと遠くまで僕を連れていってくれると思うんだ。NBAでの現役生活が終わった後も教育は残る。プロアスリートや俳優でなくとも、教育があれば素晴らしい人生が送れるんだと伝えたいんだ」
NBAで活躍するのに、サイズや運動能力、精神的強さや努力を続けるメンタリティは欠かせない。ディバンツァはそれに加えて教育を大切にする姿勢を両親から授かった。どこに指名されるとしても、人間性のバランスの良さはNBA選手としての彼の助けになるはずだ。
