
古傷の膝は完治へ「来シーズンはもっと良くなる」
セブンティシクサーズはニックスにスウィープ負けを喫し、プレーオフのセカンドラウンドで敗退した。7年ぶりにプレーオフ進出を逃した昨シーズンからは前進したが、セカンドラウンド敗退はこの10年で実に6度目。これまでのチーム作りに限界が感じられたことで、ダリル・モーリー球団社長が解任された。
一方で、ジョエル・エンビードは今シーズンを「成功」と表現した。「以前にそう言ったけど、今ここであえてもう一度言う。敗退が決まった今こう言うのは正しいメンタリティじゃないかもしれないけど、僕個人として今シーズンは成功だった。ここ数年の膝の状態から、開幕時点でどれだけやれるか確信が持てず、まともにプレーできるかさえ分からなかった。でも結果として、今は膝の問題が解決したと感じている」
「自分に残された時間はそう長くない、と思ったこともあった。でも、今は膝の心配をせずにここに座っていられる。痛みが出たこともあったけど、過去のものとは全く違う。負けて気分が良いわけはないけど、チームとしてどうすれば成長できるのか、自分がもっと多くの試合に出るために何が必要なのかを知ることができたのは大きいよ」
今回のプレーオフ、エンビードは古傷の膝に悩まされることはなかったが、直前になって急性虫垂炎で手術をすることになり、17日間に渡りチームを離れた。この影響をエンビードはこう明かす。
「手術をしただけじゃなく合併症があった。プレーオフで抱えていた問題は、すべてここからなんだ。急いで復帰したけど、動けなかった分だけ筋力が落ち、身体のバランスが崩れてしまった。言い訳にはならないけど、できる限りのベストは尽くしたんだ」
しかし、ずっと抱えていた膝の痛みと虫垂炎は全くの別物だ。「このオフは、これまでのケガすべてを完璧に治すところから始める。思えば、普通に歩いてシーズンを終えられるのは数年ぶりで、きっちりトレーニングできると思うと楽しみだよ。身体作りもスキルの向上も、今までとは違うレベルで準備ができるはずだ」
new opposition. same mission. @Toyota pic.twitter.com/QsUdB53D09
— Philadelphia 76ers (@sixers) May 4, 2026
エンビードとモーリーは確執が噂されていた。それが表面化したのは、シーズン途中のジャレッド・マケイン放出だった。エンビードはプレーオフを見据えて戦力をキープするよう求めたが、モーリーはこのトレードを実行した。「高値で売り抜けた」とのモーリーの自画自賛とは反対に、サンダーの一員となったマケインはベンチからの得点源として活躍している。ただ、サラリー削減をオーナーから命じられていたモーリーには仕方ない決定でもあった。
敗退が決まった時点でモーリーの解任は決まっていなかったが、既定路線ではあった。エンビードはフロントとの関係を問われ、「僕はフィリーを愛している」と論点をすり替えた。「ここフィラデルフィアで僕はキャリアのすべてを過ごしているけど、まだ優勝できていない。でも、今シーズンに解決策が見つかったことで、来シーズンはそこに近付けると確信している」
まずは自分自身がMVPだった頃のフォームを取り戻し、そしてリーダーとしてオフ期間も若いチームメートたちを引っ張る。その意欲にエンビードは燃えている。
「VJ(・エッジコム)は素晴らしいルーキーイヤーを過ごしたけど、もっと良くなれるし、そのためのアドバイスをするつもりだ。タイリース(・マクシー)は毎年着実に成長しているよね。(ポール・)ジョージもこの数週間は健在ぶりを示した。他の仲間たちも同様だ。正直に言うと、誰が来シーズンに残っているかは分からない。僕でさえもね。でも、僕は本来の自分に戻れる予感にワクワクしているんだ」
エンビードは来シーズンから3年1億8800万ドル(約280億円)の大型契約がスタートする。ポール・ジョージの4年2億1000万ドル(約320億円)の契約はあと2年残っており、2024年の加入からケガ続きで、薬物規定違反での長期出場停止もあり、健康であっても大事な場面での勝負強さが消えてしまっているジョージの契約はチーム再編の大きな重荷となる。
新体制にとってはこの処理が最初の仕事で、そこから契約満了を迎えるケリー・ウーブレイJr.とクエンティン・グライムズをどう引き留めるか、22位指名権をどう使うかという課題に向き合っていくことになる。
モーリー解任を受けて、シクサーズの運営会社で社長を務めるボブ・マイヤーズが暫定的に編成を担う。モーリーの後任探しも含めて難しい舵取りとなるが、エンビードにとっては自分でコントロールできることではない。浮上のきっかけをつかめたシーズンは混乱のうちに終わったが、すぐに新たな挑戦が始まる。