主力を欠く中で接戦「この戦いぶりは誇れるもの」
「みんな疲れ切っていて、本当にギリギリの状態でした」。群馬クレインサンダーズのトレイ・ジョーンズは、千葉ジェッツとのチャンピオンシップクォーターファイナル第3戦を68-72で落とした試合後にそう振り返った。
群馬はシリーズを通して、現役ドイツ代表のヨハネス・ティーマンが欠場。さらに第1戦の第2クォーターでインサイドの要であるエージェー・エドゥが負傷離脱した。ジョーンズ自身もレギュラーシーズン最後の6試合は欠場し、コンディションが万全とは言えず、満身創痍のまま3日連続の決戦を迎えた。
それでも前半の群馬は、17本中9本の3ポイントシュートを沈め、千葉Jから7本のターンオーバーを誘発。限られたロスターの中でも群馬らしいバスケを展開して、41-37とリードして折り返した。しかし、第3クォーターで6-15と失速して、千葉Jに逆転を許した。
それでも「タフなゲームでしたが、自分たちは戦いました。置かれていた状況を考えれば、よく戦えていましたし、勝つチャンスも見い出せたと思います。この戦いぶりは誇れるものです」とジョーンズが語ったように、最終クォーターは21-20と盛り返し、最後まで勝利の可能性を残す戦いを見せた。
唯一のビッグマンであるケリー・ブラックシアー・ジュニアはインサイドにアタックしても足の踏ん張りが効かず、後半に倒れ込む場面が増えた。ジョーンズも時計が止まるたびに膝に手を置き、息を整えた。チームとしても足が動かず、自慢のディフェンスローテーションに綻びが生まれてしまう場面も少なくなかった。それでも最後まで勝利を信じて走り続けた。
「唯一やらないと決めていたのは、戦うのをやめることでした。最後まで闘志を見せることができました。それはシーズンを通して私たちがやり続けてきたことです。その姿勢が自分たちをこの舞台まで連れてきてくれました」

「『勝つためなら何でもやるメンタリティ』を全員が持っていた」
今シーズンの群馬はケガに泣かされた。レギュラーシーズンでは、ティーマンとコー・フリッピンが36試合の出場に留まり、ジョーンズも37試合の出場。シーズンを通じて主力が揃わない試合が続いたが、それでもチャンピオンシップ進出の切符をつかみ取った。
「今日の状況は自分たちの我慢強さを証明できたと思います。浮き沈みがあっても、何度でも立ち上がって戦い続けました。人数が足りない中で、4ガードや5ガードで戦わなければならないこともありました」と、ジョーンズは苦しさを積み重ねてきたからこそ、その経験がチャンピオンシップでも生きたと胸を張る。「たとえ、いつもと違う役割だったとしても『勝つためなら何でもやるメンタリティ』を全員が持っていました。それが、このチームを特別な存在にしている理由です」
第1戦こそ勝利したものの、インサイド2枚を欠いての第2戦は落とした。ロスターは変わらないまま第3戦を迎えたが、気負いはなかったと言う。
「昨日の試合映像を今朝見返しましたが、修正できるミスや自分たちらしくないミスが多かった中で、接戦を落としたのは悔しかったです。観ている人には、どれほど大変か分からないかもしれませんが、3試合連続で戦うのは本当にキツいです。今日は『Win or go home』のメンタリティでしたが、自分たちは終わるつもりなんてありませんでした」
それでも、群馬はわずかな差で連敗を喫し、シーズンを終えた。フルロスターは揃わない中でも千葉Jをあと一歩まで追い詰めた。この状況で最後まで戦い抜いた群馬には、賞賛の声が送られるだろう。ただ、ジョーンズが本当に求めていたのは、『よく戦った』という言葉ではなく、勝利という結果だった。

「まさにチャンピオンチームのアイデンティティだった」
ジョーンズは、当時B2だった群馬の大改革の象徴として2020-21シーズンにチームへ加入。以来、6シーズンを群馬でプレーし、今ではチーム最長所属選手となった。選手の移籍が多いBリーグにおいて、ウイングの外国籍選手が長期間同じクラブに所属するのは異例だ。
B2優勝を経て、B1では毎年クラブの最高勝率を更新してきた。特に今シーズンは、辻直人とフリッピンが3シーズン目、藤井祐眞と細川一輝、ティーマン、淺野ケニーが2シーズン目とチームの成熟度が高まっていた。そこへ中村拓人と谷口大智、佐藤誠人、ブラックシアー・ジュニア、エドゥが加入。新たな戦力が加わり、チームは円熟期を迎えていた。
その中心で、常にエースとしてチームを牽引してきたジョーンズは、積み上げてきたものへの確かな手応えを感じている。「結果的にチャンピオンまで少し届きませんでしたが、このチームが今シーズン見せた戦いぶりは、まさにチャンピオンチームのアイデンティティでした。だから、このクラブには大きな可能性があります。この先も、この週末に見せたような戦う姿勢を持ち続けていく必要があります」
そして、その積み上げはクラブだけでなく、ファンに対しても感じていると続ける。「ファンの皆さんは本当に素晴らしかったです。B2時代からここにいますが、このクラブとファンの成長をずっと見てきました。本当に特別な存在です。間違いなく日本一のファンです」
「ホームでもアウェーでも与えてくれるエネルギーは、シーズンを通して素晴らしいものでした。いつも自分たちのそばにいてくれることに感謝しています。皆さんは『6人目の選手』として、たくさんの勝利を後押ししてくれました。本当にありがとうございました」
目標とした結果には届かなかった。それでも熱狂を生み出したシーズンだった。時間をかけて積み上げてきたものは、簡単には崩れない。また来シーズンも。そうだろ、トレイ。
