桶谷HC「平常心でいたらやるべきことを続けられる」
5月15日、琉球ゴールデンキングスは名古屋ダイヤモンドドルフィンズとチャンピオンシップセミファイナルのゲーム1で対戦。持ち前のサイズとフィジカルを生かした強固なディフェンスで、後半の失点をわずか24に抑えることで85-65と圧勝。5年連続のファイナル進出へ王手をかけた。
立ち上がり、琉球は最初のポゼッションでヴィック・ローがバスケット・カウントを決めるなど、積極的なアタックで先手を取る。だが、名古屋Dの巧みな連携によるチームオフェンスにズレを作られ、ビッグマンにゴール下で確率良く決められてしまう。
また、名古屋Dのお家芸である前から激しく当たるトラップディフェンスへの対応にも苦戦。前半だけで6スティールを献上するなど、シュートで終われない機会が増えることで第2クォーターに入ると試合の流れは名古屋Dに傾きかける。それでも琉球はこのクォーターで9本中6本成功と3ポイントシュートの爆発によって主導権を渡さず、45-41とリードして前半を終える。
点の取り合いとなった前半から一転、後半に入ると共にロースコアの我慢比べとなる。ともにシュートタッチが悪い中、琉球は粘り強くアタックを続け、デイミアン・ドットソンを中心にフリースローを多く獲得。逆に名古屋Dのアタックに対しては、ファウルをせずに守り抜くことで徐々に引き離していく。最終的に琉球が26本中24本成功、名古屋Dが9本中4本成功と、フリースローの差がそのまま点差となり、琉球が大差で勝利した。
この試合の前半は明らかに名古屋Dの方が目指すバスケを展開していた。だが、それでも琉球がリードしており、桶谷大ヘッドコーチも「前半は名古屋Dさんの方がやりたいバスケットをしていたのに、僕たちが点数ではリードしている。多分、名古屋Dさんにとっては『何、この展開?』という状況で、僕たちも『あれ、名古屋Dのペースなのに何で自分たちが勝っているのかな?』という感じでした」と語るほどだった。
だが、琉球にとって相手のペースでも先行できたのは、レギュラーシーズンの課題だった我慢をしっかりできたことだ。ターンオーバーを喫し、速攻を食らいそうな場面ではすぐにファウルをして相手のイージーシュートを防ぐなど、劣勢でも冷静にやるべきことを遂行できたことが大きかった。桶谷ヘッドコーチもこう語る。
「苦しい時間で岸本(隆一)、ヴィックだったり、ハドルの中で声掛けできる選手が増えました。こういうリーダーが増えてきていることで、チームがどの方向に行けばいいのか正しい判断ができています。今シーズン、『我慢強く』が自分たちのキーワードになっていて、今日のように平常心を持ってプレーできていたら問題ないと思います。シュートが入ったり、入らなかったりするのはコントロールできない部分でもあります。ただ、平常心でいたらやるべきこと、コントロールできることを続けることができます」

元同僚、今村とのマッチアップ「不思議な感情はありました」
この我慢強さ、冷静さを最も体現している1人が、エースキラーの小野寺祥太だ。この試合も名古屋Dの心臓である齋藤拓実など、マッチアップした相手への激しいプレッシャーで守備のトーンセットに大きく貢献。19得点のドットソンがオフェンス、小野寺がディフェンスでチームを支えるなど、セカンドユニットの活躍の差も勝敗に響いた。
65失点の堅守について、小野寺は「今日はファストブレイクで簡単にやられる部分が少なかった。ここを抑えようという、チームとしての共通認識ができていたと思います」と振り返る。
名古屋Dにはかつてともに琉球のBリーグ初優勝を勝ち取った今村佳太がいる。チャンピオンシップの沖縄アリーナで対戦相手のユニフォームを着る盟友との対峙に、小野寺は「本当に一緒に戦ったチームメートで、すごく不思議な感情はありました」と率直な思いを明かす。「(ベンチスタートの今村が)コートに入った瞬間、沖縄のファンの皆さんはブーイングをして、愛されているのを感じました。マッチアップする機会はたくさんありましたけど、楽しみながらできたと思います」
今日のゲーム2、負けたらシーズン終了の名古屋Dは出だしから全力で仕掛けてくるのは間違いない。その中で琉球に最も必要なのは、ミスをしてもずっと自分たちのやるべきプレーを続ける我慢強さだ。そして小野寺は持ち前のハッスルプレーと冷静な判断力で、この最も大切な部分を支えていく。
