スティーブ・カー

「私が去った後も続く基盤を作らなければならない」

シーズンが終了した時点でのスティーブ・カーは、プレーオフ進出を逃した悔しさはあっても晴れやかな表情をしていた。それは長年務めたウォリアーズ指揮官の仕事をやり切った感があったからだ。それから1カ月、契約延長を決めた彼は、前回とはまた違った晴れやかな表情で新たな挑戦を語った。

「私自身が1週間かけて、何が正しい判断なのかを考えた。特に妻とは毎日話して、ウォリアーズがまだ必要としてくれるなら引き受けようと決めたんだ。そこで心に残っているのが妻の言葉だ。『またいつかコーチをするとしても、今回を逃したらウォリアーズのコーチをすることは二度とない』と彼女は言った。私はコーチングが好きだし、ウォリアーズとその選手たちを愛している。別のチームの指揮を執ることは想像できなかった」

その後、ウォリアーズのフロント陣との協議を経て、新たな2年契約が合意に至った。「具体的にどこを変更するかではなく、チームの転換期にどこへ向かうのか現実的なビジョンを話し合った」とカーは言う。

「このチームはすぐに優勝を狙えると言い切れない位置にいて、私が去った後も続く基盤を作らなければならないと強く感じている。今シーズンは年齢やケガを気にして休養を優先した結果、緩みが生まれてしまった。来シーズンはもっと引き締めなければならない。コート上で何をするかの明確なビジョンを持つことが成功への道となる。自分たちがどれだけ優れたチームになれるか、そこにもう一度挑戦するんだ」

ウォリアーズ黄金期をともに築いたステフィン・カリーやドレイモンド・グリーンが、今回のヘッドコーチ人事に口を出すことはなかった。「連絡は取り合っていたが、私の決断に影響するような会話はなかった。それが彼らの素晴らしい点だ。ステフは史上最高の選手の一人だが、フロントに何かを要求したりはしない。選手がクラブを動かそうとすると不健全な何かが起きると分かっているからだ」

「もちろん、チームをどう改善するかについてはたくさん話し合っている。彼は私がコーチを続けるのを望んでいるし、私も彼をコーチしたい。その関係性は大きな強みだ。ステフやドレイモンドと特別な絆があり、このクラブのすべてを熟知しているという点で、誰よりこのチームのコーチに適任だと自負している」

気持ちをリセットする時間は必要だったが、1カ月で彼は自信とモチベーションを取り戻した。「燃え尽きたのであれば辞めていた。しかし、私はまだこの仕事とこのチームを愛しているんだ」

「毎日ここに来ると、同じ価値観と勝利への意欲を共有する仲間がいる。それが何にも代えがたいモチベーションになる。そこから離れることはできなかったよ」