冷静と情熱のあいだ「その2つの両方でありたい」
スパーズのビクター・ウェンバニャマは、ティンバーウルブズとの第4戦で激しいマークに我を忘れ、ナズ・リードに肘打ちを見舞って退場処分を受けた。現地5月12日の第5戦、出場停止を科されることなく戻って来た彼は、ティップオフからの6分間で16得点の大暴れを見せた。
プレーオフに入って絶好調のルディ・ゴベアのマークを受けながら、ゴベアがディアロン・フォックスのシュートを目で追った隙にその背後を取り、リバウンドをティップで押し込んだのが最初の得点。ゴール下でポジション争いをしていたかと思えば次の瞬間には右コーナーに開いて3ポイントシュートを決め、トップ・オブ・ザ・キーまでゴベアが追い掛けてくればドライブでぶち抜いた。ゴベアはジャンプシュートを放ったウェンバニャマの着地地点に足を入れてしまいフレグラントファウルを取られ、強い当たりに行けなくなったのが響いた。ジュリアス・ランドルも早々にファウルアウトとなり、ウェンバニャマを止められなくなった。
アンソニー・エドワーズは「あれだけ調子に乗ってしまったウェンビーは止めようがない。シュートが外れるのを祈るしかないような状況だった」と語る。
開始6分で15点ビハインドを背負ったウルブズも、ここから持ち前の粘り強さを発揮。第1クォーター後半は猛追し、第3クォーターには一度は追い付いた。しかし、追う展開のうちに力を使いすぎ、終盤にプレーの強度を維持できなくなっていく。
ウェンバニャマは後半にはペースを落としたが、彼にディフェンスの注意が集まる隙を突いてステフォン・キャッスル、ケルドン・ジョンソン、ディラン・ハーパーと脇を固める選手たちがオフェンスに絡むことでスパーズの勢いはむしろ増し、126-97で3勝目を挙げた。
ウェンバニャマは33分のプレーで27得点17リバウンド5アシスト3ブロックを記録。退場を経た後、相手がフィジカルに削ってきても冷静さを保ち、なおかつプレーの積極性は失わない『完璧なメンタルバランス』を見せた。
「その2つは相反するものではないと思っている。だから、その両方でありたい」とウェンバニャマは22歳とは思えない成熟した表情で語った。「相手がこちら怒らせて冷静さを失わせる作戦なのは承知の上。だからチームとして冷静であり続ける必要があった。退場のことを振り返る時間はあったけど、今はプレーオフの真っ最中であり、僕は今日の試合に集中しようとしたし、次は3日後のミネソタでの試合に集中する。先に進むことだけを考える」
この試合の前、スパーズファンはSNSで流れた1枚の写真に沸き立った。第4戦で退場処分を受けたウェンバニャマを、サンアントニオの空港でグレッグ・ポポビッチが出迎えた写真だ。コーチ・ポップは闘病のためにスパーズのヘッドコーチを辞したが、今も重鎮であり続けている。会話の内容については明かさなかったが、ウェンバニャマは「わざわざ空港まで来ることで、自分の言葉をより強く僕に伝えようとしたんだと思う」とポポビッチへの感謝を語った。
