万能ビッグマンはまさかの44位指名
デューク大のザイオン・ウィリアムソンが予想通りに全体1位指名選手となり、ゴンザガ大の八村塁がウィザーズから全体9位で指名された今年のドラフトで最も意外だったのは、オレゴン大のボル・ボルが2巡目の中位まで指名されなかったことだろう。
元NBA選手のマヌート・ボルの血を引くボルは、221cm100kgという恵まれた体躯を誇り、1巡目の上位指名が確実視されていた。しかし、蓋を開けてみれば1巡目で指名されず、2巡目の全体44位でヒートが指名。ボルとの交渉権をナゲッツが将来のドラフト2巡目指名権と金銭とのトレードで獲得し、彼は父と同じNBA選手の道を歩むこととなった。
ボルは1巡目で指名されなかった理由に、昨シーズン9試合の出場に終わってしまった原因である左足の疲労骨折を挙げた。しかし彼は、自分を指名しなかったチームに対し、「全員が間違っていたと証明したい。できる限り最高の選手になりたい」と、苦笑いを交えて指名直後のインタビューで答えた。
身体能力が高く、この身長でミドルレンジ、3ポイントシュートも打てるボルは、類稀な才能の持ち主だ。ナゲッツの球団社長ティム・コネリーは「我々は、この夜に著しく過小評価された選手を獲得できると思った」と、トレードまでの経緯を説明。「ボル・ボルのような選手を獲得できるのなら、アグレッシブにならない理由が見当たらない。興奮しないわけにはいかない」と、獲得を喜んだ。
ボルは自身のパフォーマンスに役立つと思い、昨シーズンのNBAプレーオフ期間中、同じく長身で万能センターのニコラ・ヨキッチのパスを見てメモを取ったという。勉強家でもあるボルの指名について、コネリーは「リスクを取る価値はあると思っている」と、自信をのぞかせる。
グリーンルームに招待されたにもかかわらず1巡目で指名されず、長時間待たされるのは辛かったに違いない。ドラフトが始まってから4時間以上が経過し、会場に残るファンはわずかだったが、彼らは自分がどのチームのユニフォームを着ているかにかかわらず最前列まで出て、ボルと祝福のハイタッチをかわした。
この経験を今後の糧にできれば、ライバルを見返すことのできる時はきっとやって来る。彼の指名を見送った球団の判断が正しかったかどうかは、そう遠くない時期に明らかになるはずだ。
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— バスケット・カウント (@basket_count) 2019年6月13日