シェイ・ギルジャス・アレクサンダー

ペイサーズがハイスコアゲームの展開に持ち込むも……

ペイサーズが2勝1敗とリードして迎えたNBAファイナル第4戦は、序盤からペイサーズらしいトランジションの連続でハイスコアの展開となりました。選手起用が裏目に出るサンダーに対してペイサーズが主導権を握る試合展開になりましたが、勝負はそう簡単には決まらないのがNBAファイナルです。

サンダーはアイザイア・ハーテンシュタインとチェット・ホルムグレンを並べたツインタワーへとスタメンを変更しましが、コートを広く使ったペイサーズのパスワークについていけず、次々と3ポイントシュートを打たれます。ペイサーズはワイドオープンで打ち続けた3ポイントシュートを試合開始から5本中4本決める上々の立ち上がりとなります。

パスカル・シアカムが第1クォーターだけで4スティールを記録するなど、ディフェンスでもアグレッシブだったペイサーズでしたが、早い展開であれば隙も生まれることが多く、カウンターからの失点も増えてしまいました。しかも、全く触れていないプレーでファウルを取られるなど運の悪さも重なり、内容で上回ってはいても点差が開かない前半となりました。

ただ、点差は開かなくても早い展開を繰り返していくことで、試合終盤にスタミナの差で上回るのが、このプレーオフでも終盤の強さで逆転勝利を繰り返してきたペイサーズの勝ちパターンです。

ペイサーズの強みは、ハイスコアを1試合通して続ける選手層とスタミナ。第3クォーターになるとベンチから出てきたオビ・トッピンが3ポイントシュートと速攻、そしてオフェンスリバウンドで強さを見せ、試合を通して17得点とスピードと運動量で違いを作りました。最大で10点のリードを奪い、これはペイサーズにとってNBAファイナルで初めての2桁リードであり、完全にリズムをつかんだペイサーズが、ホームでこのまま押し切るかに思えました。

エースの個人技勝負、シェイがハリバートンを上回る

サンダーは試合を通して3ポイントシュートが17本中3本しか決まらず、アシストに至っては10のみ。チームとしては完全に抑え込まれていましたが、今シーズンのMVPシェイ・ギルシャス・アレクサンダーが、試合時間残り5分から試合の流れも何もかもをひっくり返してきます。

ハイポストでボールを受けて、ドリブルをついていない状態からの1on1を増やしたシェイは、プレッシャーをかけてくるディフェンダーの腕を利用してのファウルドローでフリースローを奪うと、今度は腕が下がったところでのフェイダウェイ。そして距離を詰められたらドライブと次々にシュートを沈めていきます。

エースの個人技勝負となればプレーオフで勝負強さを見せ続けてきたタイリース・ハリバートンも黙ってはおらず、ホルムグレンを引き出してのドライブで得点を奪っていきましたが、残り4分でのシェイとのマッチアップではドライブではなくステップバック3ポイントシュートを選択し、これをシェイにブロックされます。

逆に残り2分で、シェイがこの試合唯一の3ポイントシュートを決めてサンダーが逆転。そこからテクニカルやファウルゲームで得たフリースロー6本をすべて沈め、第4クォーター残り5分だけで15得点を奪って逆転勝利を呼び込みました。サンダーはチームとしてはファイナルで最も苦しい試合内容でしたが、シェイが個人能力でひっくり返しての2勝目を挙げ、2勝2敗のイーブンとしてオクラホマシティに戻ることになります。