アーロン・ゴードン

苦しい状況を打破したナゲッツ、2勝2敗でホームへ

ナゲッツとクリッパーズのプレーオフ・ファーストラウンド。第3戦でのナゲッツは、クリッパーズに攻守ともに主導権を握られての完敗を喫した。続く第4戦はクリッパーズが万全の状態である一方で、ナゲッツはラッセル・ウェストブルックをケガで欠いた。

ただでさえ選手層に問題を抱えている状況で、ベンチからエネルギーを注入するウェストブルックの欠場は痛い。序盤からリードする展開になっても、ナゲッツの選手たちは不安を抱えているように見えた。クリスチャン・ブラウンとジェームズ・ハーデンがにらみ合った際に激高したアーロン・ゴードン、審判に文句を言い続けるニコラ・ヨキッチの様子からも、ナゲッツには不穏な気配が感じられた。

第3クォーターのラスト4分で18-5のラン。ヨキッチを中心とする猛攻により20点差で第4クォーターを迎えたが、問題はここからだった。負けられない試合で接戦が続けば主力を使い続けることになる。20点を築いた第4クォーター序盤もジャマール・マレーをわずかに休ませただけで、他の主力は使い続けた。実際、この試合でナゲッツの先発5人全員が42分から43分の出場となっている。

一方でクリッパーズはベンチからオフェンスを活性化させるボグダン・ボグダノビッチを入れて反撃開始。疲労がプレーに表れ始めたナゲッツを攻め立て、残り2分でノーマン・パウエルの3ポイントシュートで1点差に詰め寄り、ボグダノビッチの得点で逆転した。

最大22点のリードをひっくり返され、イントゥイット・ドームは大盛り上がり。もはやナゲッツに押し返す力はないはずだったが、体力は残っていなくても気力は残っていた。

同点で迎えたラスト8秒、ヨキッチはイビチャ・ズバッツとカワイのダブルチームにタフな3ポイントシュートを打つことを余儀なくされた。しかしこの時、ゴール下にいたブラウンに相手の意識が集中したその外に、ゴードンが待ち構えていた。外れる3ポイントシュートを空中でつかんでリングへと叩き込む。ショットクロックぎりぎりだったが得点は認められ、101-99でナゲッツを勝利に導くゲームウィナーとなった。

「ラッキーかもしれないけど、そうとも言いきれない」

ゴードンは結果的にアリウープとなったこのダンクを決めると、そのまま狂喜乱舞でロッカールームへと走ったが、ヨキッチは映像判定の結果を静かに待っていた。「際どいタイミングで、得点が認められるかどうか分からなかったから、集中を切らさないようにしていた。実際、あれは映像で確認しなければ判断できないギリギリの得点だった」とヨキッチは語る。

プレーオフでは初のブザービーター・アリウープかもしれない。その感想を聞かれたゴードンは「最高のパスだった」と言い、ヨキッチは「その通り」と返した後に、「いや、あれはパスじゃなかった」と笑った。「僕は前にも同じプレーをやったことがある。ユーロリーグのセミファイナル、CSKAとパルチザンの試合だ。かなり前のことだけど、これは記事に書いてほしい(笑)」

ゴードンは「どうしても必要な得点だった。決められて良かったよ」と安堵の表情を見せた。「ニコラはソンボル・シャッフルで試合を決めようとした。僕らにとってもそれが一番だけど、身体が自然にリバウンドへと動いた。彼は少し早く打つことで僕にチャンスを与えてくれたんだと思う。リバウンドを狙っている時にエアボールに反応するのは難しいんだけど、良いタイミングで良い場所にいることができた」

これに対してヨキッチは、「単なるラッキーかもしれないけど、そうとも言いきれない」と語る。「僕らはずっとお互いのプレーを学んできた。ケミストリーはいきなり、偶然に生まれるものじゃない。練習と試合を重ねるうちに、少しずつ自然に物事が噛み合うようになるものなんだ。だから今日起きたことは単なるラッキーじゃないと思っているよ」

そしてヨキッチはこう続けた。「2勝2敗でホームに戻ることができて良かった。勝負はこれからだ」