ラウリ・マルカネン

「結果が出ない時にも精神的に少し余裕を持っておく」

クイン・スナイダーが辞任し、ドノバン・ミッチェルとルディ・ゴベアの放出でジャズが再建へと舵を切ったのは2022年オフのこと。その後の3シーズンで37勝、31勝、17勝と負け続けている。今は我慢の時期だとしても、将来の明るい展望がいまだ見えてこないのは問題だ。

この3年間、ラウリ・マルカネンをエースに据え、ドラフトで才能ある若手を集め、彼らの模範となるベテランを加えてチームの成長にフォーカスしてきた。若き指揮官ウィル・ハーディーは、試合に負けることや選手のミスは許容したが、プロ意識を欠くと感じた時には黙っていなかった。「チーム全員にそれぞれ責任がある。ジャズのユニフォームを着てコートに立ち、自分の可能性を試す機会は特別なものだ。だからこそ、常にできる限りの努力をして、自分のパフォーマンスに責任を負わなければならない」

それと同時に、今シーズンはNBA最下位の17勝とタンクに徹した。これまでは2月までは勝負にいっていたが、今回はドラフトの目玉となるクーパー・フラッグ狙いでシーズン序盤から勝敗をあきらめた。

しかし、若手は成長していてもマルカネンに並ぶタレントがいるわけではない。ロッタリーで1位を引き当てればいいが、そうでない場合はタンクを続けるのだろうか?

ジャズのエース、マルカネンにとっても厳しいシーズンとなった。今シーズンはNBAキャリア8年目で最少となる47試合にしか出場できず、19.0得点、5.9リバウンド、1.5アシストとすべてのスタッツでジャズでの過去2シーズンを下回り、充実とはほど遠いシーズンとなった。

マルカネンは「波が激しくてケガの多いシーズンだった」と1年を振り返る。「新たな学びもあったけど、仲間たちと一緒にプレーできず、試合に負けることで腹が立つこともあった。でも、結果が出ない時にも精神的に少し余裕を持っておく、その我慢強さが成長に繋がることは学べたと思う」

フィンランド代表に意欲「思い切ってプレーできる」

マルカネンはまだ27歳と若く、昨年オフに5年総額2億3800万ドル(約360億円)の新契約を結んだばかり。今オフも移籍の噂が浮上するのは間違いないが、彼は「去年の契約延長は僕のこのクラブへの信頼を表している。僕はこのチームが好きだ」と言い切る。

「僕はベテランとしてこのチームの成長を助けたい。この1年は、言いづらいことも指摘するようになった。僕は負けるたびに怒鳴り散らすようなタイプじゃないけど、チームメートそれぞれのことを理解し、自分にできるアドバイスをするようになった。みんな一生懸命にやっているから、それを少しでも良い方向に導いてあげたい」

そして、彼の意識はすでにフィンランド代表に向きつつある。今夏のユーロバスケット2025はフィンランドを含む4カ国の共催で、代表でのプレーを愛する彼は例年以上に気合いが入っている。「2017年の大会も自国開催で、毎試合が満員になって最高の雰囲気だった。今回はチームにも自信があるし、それ以上の経験になることを願っているよ」

「僕は代表でプレーするのが大好きだし、それがNBAのシーズンにもプラスになると思っている。過去数年間も、代表活動があって夏にしっかりプレーしていた時の方がNBAでの調子も良くなるんだ。今はケガの影響もないし、思い切ってプレーできる。精神的にも身体的にも万全の準備をしてユーロバスケットに臨み、そしてジャズに戻って来るつもりだ」