ラウリ・マルカネン

「これで少なくとも1年間、移籍の噂から解放される」

現地8月7日、ラウリ・マルカネンは5年総額2億3800万ドル(約360億円)の延長契約でジャズと合意した。新たな契約を結ぶと6カ月間はトレードができない。彼の契約が更新できるのは8月6日からで、この日に契約を結べばちょうど6カ月後が来シーズンのトレードデッドラインだった。再建中のジャズとしては、来年2月に補強を必要とする上位チームにマルカネンを放出すれば大きな見返りを得ることができたが、彼自身はそれを望まず、1日遅れでの契約延長となった。

ジャズはドノバン・ミッチェルとルディ・ゴベアを放出した2年前から再建期に入り、昨シーズンには善戦していたにもかかわらず2月に主力数人を放出。『勝てる環境』ではないにもかかわらず、マルカネンはここを気に入っている。地元ヘルシンキからクラブ公式Youtubeに出演したマルカネンは、「何度も言っているように、僕はユタの環境が気に入っている」と語った。

今オフも移籍市場の話題には常にマルカネンの名前があった。それでも彼は市場の動向を全く気にしていなかったと言う。「移籍のニュースは見ないけど、友達が『こんな話題が出ているぞ』とメッセージを送ってくることで、そのいくつかは知ることになる。でも他人事のように『面白いな』と思うことはあったも、深く気にすることはない」

「2年前も、ドノバン・ミッチェルがキャブズに移籍するというニュースは知っていたけど、それと自分との関連は気にしなかった。GMから着信があった時点で『そういうことか』と分かる。それだけなんだ」

「正直に言えば、トレードは二度と経験したくない」とマルカネンは言う。「結果として僕はキャリアで何度か移籍を経験し、難しい時期もあったけど、それを乗り越えて成長してきた。移籍が自分を成長させてくれることもあるけど、正直ありがたいものじゃない。僕は落ち着いた環境でバスケに集中していたい。ここユタではバスケに打ち込み、選手としても人間としても成長できる。フロントは僕を信頼してくれるし、チームメートもスタッフも僕を支えてくれる。人と人との繋がりがここにはあって、素晴らしいファンの支えもある。将来何が起きるかは誰にも分からないけど、これで少なくとも1年間、僕は移籍の噂から解放されてバスケに打ち込むことができる」

キャリア初期を過ごしたブルズでは与えられる役割が頻繁に変わり、それに戸惑う4年間だった。キャブズ移籍で再評価を勝ち取ったものの、それはロールプレーヤーとしてのもの。絶対的なエースとしての評価を得られたのは、ジャズへのトレードがきっかけであり、彼自身もそれは自覚している。

「ただ楽しんで、自分にできる最もアグレッシブなスタイルでプレーする。ジャズへのトレードが決まった瞬間に考え方がそう切り替わったんだ」とマルカネンは言う。自分のポテンシャルを発揮して活躍する今を楽しみながら、より大きな役割を担うのが彼の思いだ。

「今までやってきたように毎日少しずつ成長し、その過程を楽しみたい。1日置いてサインしたことで雑音に惑わされず1年間を過ごせるから、自分自身を成長させてチームを次のステップに導くのはもちろん、若い選手たちが成長するための環境を整え、お手本としての姿も見せるつもりだ。まだ僕は若いけど、その責任も少しずつ背負っていかなきゃいけない。でも、それを重荷に感じたりはしないよ。試合に勝ち、選手として成長し、チームを引き上げる。その過程を楽しむつもりだ」