ジミー・バトラー

注目の古巣対戦を前に「僕にとってはただの一日だ」

ジミー・バトラーがマイアミに戻って来た。現地3月25日に行われるヒートvsウォリアーズは、彼がヒートを離れてから初めての古巣対決となる。

昨年夏から2月まで、ヒートとバトラーは最初は水面下で、その後は派手に激突した。ベテランとなり契約延長の時期を迎えたバトラーをヒートは冷遇し始め、バトラーはそれに怒った。様々な衝突の末に、バトラーはウォリアーズへとトレードされた。

その後の1カ月半を見る限り、勝者はバトラーだ。自分の望む2年1億1100ドル(170億円)の大型契約を勝ち取り、彼の加入を機にウォリアーズは不振から抜け出してプレーオフへと突き進んでいる。それに対してヒートはアイデンティティを失い、大苦戦している。今は10連敗をようやく脱したところだ。

バトラーはプライドの高い男で、ヒートの仕打ちを忘れないだろう。だが、この対戦を控えてのメディア対応で「特に何もないよ。今は僕にとって良い状況にある。あちらも引き続き成功を収めてほしい」と語った。

マイアミにはまだ自宅があり、家族もいる。そこに戻れたことをバトラーはシンプルに喜んでいる。「みんなが思うような感情は抱いていないんだ。僕はここで素晴らしい時間を過ごし、チームやこの地域の人々と絆を築いた。でも、僕はバスケの試合をするために来たんだ。誰が何と言おうと僕の性格を変えることはできない。僕にとってはただの一日だ」

「僕はいつも悪者扱いされる。それを受け入れてきた」

来るべき古巣との対戦では、ヒートでの功績を称えたバトラーのハイライト映像が流されるだろう。「流されたら見るけど、別にトリビュートビデオがなくても何も変わらないよ」とバトラーは語る。

ただし退団の経緯がトラブルに満ちていたため、マイアミのファンがそれにブーイングを送る可能性はある。「みんなが公平に見ているかどうかは少々疑問だね」とバトラーは言う。「僕がすべての原因ではない。50対50か、もしかしたら51対49かもしれない。でも、僕だけが今回の騒動の原因ということは絶対にあり得ない」

「僕はいつも悪者扱いされる。どこに行っても問題児だ。でも、それを受け入れてきた。それに対して怒ったりしないし、言うこともない。メディアにいろんなことを話す人もいるけど、僕が自分の言い分を話すことはほぼない。作られたストーリーが真実だと世間が思っても構わない。僕はただそれを受け入れるだけだ」

この対戦を前に『The Athletic』はバトラーに独占取材を行っている。そこでバトラーは、もう一歩踏み込んで自分の思いを語った。

「マイアミのファンは僕がヒートで成し遂げたことを高く評価している。ヒートのチームメートも同じように思っているはずだ。そして実際には、フロントもそうだと思うよ。これはビジネスで、ビジネスは常に美しいものじゃない。自分が望む形で終えるのは難しいんだ。でも、そこで成し遂げたこと、その過程で得られた思い出には感謝している」

前日練習の会場には何人かのヒートファンがバトラー目当てで集まり、サインや写真撮影を求めていた。バトラーもこれに応じて言葉を交わす。ヒートのファンは集団心理の中で、数カ月前まで自分たちのヒーローだった選手にブーイングを送るかもしれないが、それもバトラーに言わせれば『作られたストーリー』なのだろう。