
大きく評価を高めたシーズンは、アキレス腱断裂で終了
ドンテ・ディビンチェンゾは2024年オフの終盤になってニックスからティンバーウルブズにトレードされた時、この移籍をなかなか受け入れられなかった。2023-24シーズンはジェイレン・ブランソンと彼のバックコートコンビが機能し、彼自身も先行きに手応えを感じていたし、華やかなマディソン・スクエア・ガーデンでのプレーを気に入ってもいた。その前シーズンにもウォリアーズで結果を残していたにもかかわらず放出されており、一つのチームに定着できないことに嫌気がさしていた。
それから2年、彼はウルブズで欠かせない戦力になった。小兵ガードではあってもハードワークする姿勢がチームスタイルにハマり、勝敗の懸かった場面で3ポイントシュートを射抜く勝負度胸も大きな武器となった。
加入2年目の今シーズン、ウルブズはベテラン司令塔のマイク・コンリーの序列を下げて、アンソニー・エドワーズとディビンチェンゾにポイントガードの役割を託した。結果として、この試みは指揮官クリス・フィンチが「チームの継続性を断ち切り、天性のスコアラーであるアント(エドワーズ)に過度に負担をかけた」と失敗を認める結果に終わったが、その副産物としてディビンチェンゾのさらなるブレイクがあった。レギュラーシーズン82試合にすべてに出場し、エドワーズをサポートしながらチームの攻守の強度をもう一段階引き上げる役割を全うした。
しかし、ディビンチェンゾの『飛躍のシーズン』は悲劇的な終焉を迎える。ナゲッツとのファーストラウンド第4戦でアキレス腱断裂の大ケガを負ったのだ。「コートを出る時は何の感情もなかったけど、裏に行って座り込んだ瞬間に様々な思いが頭の中を駆け巡った。その多くは『なぜ僕が?』だった」と、彼はシーズン終了の瞬間を振り返る。
それでも彼はセカンドラウンドからチームに戻り、チームメートの背中を押した。「ケガをした翌日には、いつ手術をしてどうリハビリするかを考え始めた。自分を不憫に思って悲しむより健全だと思ったからね。僕の帯同がチームにどれだけ役に立ったかの判断はみんなに任せるけど、僕はチームの仲間たちを必要としていた。このチームの『兄弟愛』の中にいることで、暗い瞬間から抜け出すことができた」
Donte DiVincenzo: bucket getter. 🪣 pic.twitter.com/QZnIkzPdia
— Minnesota Timberwolves (@Timberwolves) December 13, 2025
話をアキレス腱断裂の前に戻すと、ディビンチェンゾは「移籍が正しかったと証明しなければ」と肩に力が入っていたウルブズ1年目から、今シーズンはチームの勝利だけに集中できたと総括する。
「今シーズンの目標は『エゴを捨てる』だった。個人の目標を設定せず、良いプレーができるよう努力はしても、スタッツは気にしないようにした。ディフェンスを強化し、細かいプレーを突き詰める。チームが何を必要としているかを探り、実行しようとした1年だった」とディビンチェンゾは言う。
「スタッツを意識するのは人間の性で、『自分の出来はひどかったけど、チームが勝ったからOK』と割り切るのは簡単じゃない。でも、このチームには良いヤツらが揃っている。全員が誰かを批判するよりまず自分について反省し、そこからどう学んで成長に繋げるかを考える。15人から17人の選手がいれば、意見の相違はあるものだけど、このチームは全員が努力家で、謙虚に自分に足りない部分を受け入れ、問題を修正していける。それがこのチームの強さだ」
アキレス腱断裂は約1年間を要するケガで、早くても来シーズンの終盤にしか復帰できないし、来シーズンが全休になる可能性もある。それでもディビンチェンゾは自己憐憫に浸ることなく、これからのリハビリのステップを一つずつこなしていくつもりだ。
「ファンのみんなには感謝を伝えたい。スパーズとの第6戦でアリーナに戻って来た時、『復帰を待っている』というボードをファンが掲げているのを見て、自分はここで本当に愛されているんだと感じたし、それがリハビリの大きなモチベーションになる。ターゲット・センターのファンの前で再びプレーする日が楽しみだ。みんなから受け取った愛情は、僕の中にしっかり刻み込まれているよ」