SR渋谷の奇策に対し、難なく対応
サンロッカーズ渋谷vsアルバルク東京の水曜ナイトゲーム。マークが甘い状態でのシュートを確実に沈め、持ち前の堅守を発揮したA東京が終始試合を支配し、今シーズン最多得点を更新する110-61で完勝した。
SR渋谷は前回の千葉ジェッツ戦と同様に、スクリーンに対してすべてアンダー(スクリーンの下を通りドライブをケア)で対応する奇策を用いた。だが、この作戦が裏目に出る。A東京は田中大貴が2本、安藤誓哉が1本、計3本の3ポイントシュートをすべて成功させると、身長のミスマッチを突いた田中が12得点の荒稼ぎを見せ先行する。ライアン・ケリーに1on1から得点を許すも、強度の高いディフェンスでボールマンにプレッシャーをかけ、ディナイでズレを作らせない。その結果、SR渋谷は外からシュートを打たざるを得ず、タフショットとなりボールはリングに弾かれた。
一方、A東京は連動したオフェンスで確実にペイントに侵入し、リングに近いところでプレーした。SR渋谷の0本に対し、10本のフリースローを獲得し、そのうち9本を成功させ26-13といきなり2桁のリードを奪った。
第2クォーターに入ると、長谷川智也が攻め気を見せ、2本の3ポイントシュートを沈めた。ケリーがファウルを受けながら3ポイントシュートを決め、さらにこの判定に不服を申し立てた指揮官のルカ・パヴィチェヴィッチがテクニカルファウルをコールされる。この2本のボーナススローを決める5点プレーも飛び出し、SR渋谷はどうにか食らいついていった。
だが、A東京は6人が得点を挙げるバランスの良いオフェンスを展開。齋藤拓実がボールプッシュからノールックのバックビハインドパスでアレックス・カークのダンクをお膳立てし、竹内譲次もスティールからダンクをお見舞いするなどトランジションも機能し、このクォーターも23-20で上回った。
終始、攻守で圧倒したA東京が貫録の勝利
アンダーで対応するSR渋谷のディフェンスを嘲笑うかのように、安藤が3ポイントシュートを沈めて、後半がスタート。A東京は洗練されたチームバスケットに加え、ノーマークのシュートをほとんど決めきる決定力を見せる。SR渋谷がゾーンに変えようが、ボールと人が連動してディフェンスを崩し、内外からシュートを次々と決めてリードを拡大していった。
守ってはベンドラメ礼生を自由にさせず、ロバート・サクレに対しても常にヘルプが目を光らせ、仕事をさせない。
第3クォーター残り2分47秒、田中がセカンドブレイクからバスケット・カウントを獲得。ボーナススローもしっかり決める3点プレーで75-44、点差を30の大台に乗せた。
勝負を早々に決めたA東京だったが、攻撃の手を休めずセカンドユニットも奮起し、今シーズン最多得点となる110までスコアを伸ばして快勝した。
A東京が大勝した3つのポイント
A東京がディフェンディングチャンピオンであるとはいえ、ここまで点差がつくのは想定外だった。ルカヘッドコーチは、ここまで差がついた3つの理由を説明した。
「渋谷さんはオフェンスでタレントがいます。ベンドラメ選手のピック&ロール、ここで相手のオフェンスをシャットダウンしました。2つ目がインサイドのサクレ選手です。あとは広瀬(健太)選手、山内(盛久)選手がいないので、ちょっと違った形になりましたが、トランジションが速いチームです。この3つのポイントを抑えることができたからだと感じています」
ルカヘッドコーチが説明したように、ベンドラメに対しては特にマークが厳しく、第3クォーター終了時点でフィールドゴール9本中わずか1本成功の2得点に封じた。サクレに対しても、マークにつくビッグマンだけでなく、他の4人がすぐに寄れるようポジション取りし、12得点に抑えた。そしてハリーバックを意識し、SR渋谷の速攻での得点を0に封じていた。
「大敗です」と語るSR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは、「アルバルクさんのリズムを変えたかった」との理由で『ほぼアンダー』作戦を敢行したが、3ポイントシュート10本中7本を決められ、思い描いたような効果は得られなかった。
また、この試合は広瀬、山内、盛實海翔の3人が欠場した。リングにアタックできる面子を欠いたことでマークが外れず、外からのシュートを打たざるを得なかった。「山内と盛實と広瀬と縦に行ける選手なので、そこは想定内のことが起きているかなと。伊藤(駿)とベンドラメしかボールハンドラーがいないので、その2人がフルコートでプレッシャーをかけられて、結局疲れて、プッシュができなくなってしまった」
SR渋谷がケガ人を多く抱えるとはいえ、『渋谷ダービー』は思わぬ大差がつく結果に。A東京は、カークの22分が最長と、いつも以上にプレータイムがシェアできた。明日の栃木ブレックス戦を最良のコンディションで迎えられ、最多得点も更新と、A東京としては最高の結果となった。