パトリック・ベバリー

「このリーグでやり残したことに決着をつけたい」

バックスはトレードデッドラインにパトリック・ベバリーを獲得した。今シーズン開幕前にドリュー・ホリデーを放出した後、チームの持ち味であるはずのディフェンスに緩みが出ていたのを、この補強で修正するのが狙いだ。ベバリーはかつてクリッパーズで、指揮官ドック・リバースの下でプレーした経験がある。ジョン・ホーストGMは「我々の仕事は、ヘッドコーチが望む形で最高のプレーができる戦力を整えることだ。ベバリーはフィジカルに戦い、ハードにプレーすることで、チームに貢献してくれる」と、その期待を語る。

そのベバリーは現地2月9日のホーネッツ戦で、バックスでのデビューを果たした。途中出場で12分プレーし、6得点4アシストを記録。チームは120-84でホーネッツに快勝し、連敗を3で止めた。試合後の会見は、ベバリーがバックスの一員として初めて公式に語る場となった。セブンティシクサーズでそうしていたように、シャワーを浴びて着替え、自分へのご褒美である冷えたビールを手にしてマイクの前に座った彼は、「NBAの世界では、いつだって何もかもが猛スピードで進む。今回のトレードもあっという間のことで、今はこの通りだ」と笑った。

2021年オフにクリッパーズを離れて以降、2年半で5つ目のチーム。それでもベバリーは、優勝を狙えるチームでプレーできることを喜んでいる。「シクサーズでは周囲と素晴らしい関係を築き、キャリア最高とも呼ぶべきプレーができていた。だからこのトレードには驚いた。でも、この年齢になっても優勝を目指すチームから必要とされるのはありがたいことだ。そしてドックがコーチになって『おめでとう』のメッセージを送っていたんだけど、彼が就任するなり僕の獲得に動いてくれたのはうれしい」

この試合、コート上のパフォーマンスよりも目立ったのは、ベンチで選手たちに指示を出すベバリーの姿だった。新加入選手でも遠慮はなく、時に厳しい口調で檄を飛ばした。また、試合前のフィルムセッションでは、後ろにいた若手たちを最前列に座らせたという。単にコミュニケーションを取るだけでなく、勝つために必要な気合いが足りなければそれを注入する。まさに最近のバックスに欠けていたものを彼は補っていた。

「プレーすることは簡単だ。難しいのはチームを変えても自分らしくあり続けること。僕が僕であるためには、ゲームに対して持っている情熱を発揮しなくちゃいけない。だから僕はサイドラインでコーチみたいにみんなに指示を出す。僕は勝つためにここに来たし、そのために必要なことは何でもやる」とベバリーは言う。

「僕のやり方だと全員がハッピーになるわけじゃない。それなりに強烈だから最初は面食らうかもしれないけど、僕のことを知れば、それは勝ちたいからだと理解してもらえると思う」

すべてはNBA優勝のために。バックスはヘッドコーチ交代があり、今はケガ人も多くて苦戦しているが、本来の姿を取り戻せば優勝争いの有力候補だとベバリーは信じている。良いチャンスを得た以上、何に対しても貪欲に突き進んで優勝を実現させようとしている。

「僕はこれまで多くのチームでプレーし、多くのスーパースターと一緒にプレーした。長いキャリアを過ごし、お金もかなり稼いだ。残された唯一のものが優勝なんだ。このリーグでやり残したことに決着をつけたい」