鈴木貴美一ヘッドコーチ「ファンの方々のために、勝てて本当に良かった」
シーホース三河は昨日の第1戦で91-68と三遠ネオフェニックスに完勝。前半終了時点で50-33、カイル・コリンズワースが4試合連続のトリプル・ダブルを記録する完璧な出来で、チャンピオンシップ進出に向けて負けられない試合をきっちり取った。楽勝の展開でプレータイムが19分半だったダバンテ・ガードナーが、今日の第2戦では立ち上がりから奮起。それでも三遠も意地のパフォーマンスを見せて食い下がった。
重量級センターのガードナーのポストアップを軸とする三河のオフェンスに対し、三遠は筋骨隆々のカイル・ハントが押し負けずに優位を作らせない。絶好調のコリンズワースにも複数の選手がローテーションしながら常に目を離さず、前を向いて仕掛けようとすればファウルでプレーを切り、リズムをつかませなかった。
この激しいディフェンスに対し、ガードナーは行ける時は自分で攻め、そうでなければ相手を引き付けてパスをさばいて対抗する。第2クォーター序盤には左の柏木真介、そして右の川村卓也とオープンのコーナースリーをアシストした。これに対して三遠は寺園脩斗が三河ディフェンスのギャップを突くミドルレンジのプルアップ、そしてフローターを決めて食らい付きつつ、外国籍選手やシュートタッチの良い寺園にボールを集めるのではなくシェアし、津屋一球のアシストから太田敦也のジャンプシュート、山本柊輔のアシストから岡田慎吾の3ポイントシュートとバランスアタックで逆転へと持っていく。
そんな三遠の粘りを第3クォーターにガードナーが突き抜ける。密集地帯を突き抜けるダンクに始まり、軽やかなユーロステップからのレイアップに3ポイントシュートと多彩な形で得点を連発。さらにはハント相手にポストアップを仕掛けつつ、ゴール下へ飛び込む長野誠史にパスを合わせてイージーレイアップをアシスト。このクォーターで通算8000得点を決めたガードナーは、8本のシュートのうち7本を決めて15得点を荒稼ぎ。ガードナーで押しまくりつつ、ゴール下に飛び込むシェーファー・アヴィ幸樹に金丸晃輔がパスを合わせる好プレーも重なり、28-16のビッグクォーターで三遠を突き放した。
リバウンドでもアシストでも上回った三遠、ブラックアウトが響く敗戦
そして第4クォーター頭から、浮足立つ三遠を攻め立てる。熊谷航のファストブレイク、ガードナーの3ポイントシュート、コリンズワースによるスティールからのワンマン速攻と7-0のランで71-55と突き放す。たまらずタイムアウトを取った三遠はここから立て直し、残り2分20秒に鈴木達也のファストブレイクで68-78と10点差に迫り、最後は3点差まで追い上げたものの、三河は最後まで崩れることなく、残り時間と点差をコントロールして80-75で勝利した。
素晴らしい粘りを見せた三遠だが、ケガ人が多い中でプレーの強度を40分間保つことができず、三河に振り切られる結果となった。リバウンドは36-22、セカンドチャンスポイントで10-7、アシストでは22-18と上回っただけに、ブラックアウトして三河に一気に流れを持っていかれた時間帯が悔やまれる。また悪い時間帯にターンオーバーを連発。ここでダメージを最小限に留めることができなかったのが痛かった。
ガードナーは37得点を記録。三遠がブラックアウトした時間帯に一気に勝負を決めに行く気持ちの強さと、同時に味方が空いていれば見逃さずに8アシストを挙げるしたたかさも光った。チームとしてはコリンズワースに長野、シェーファーがハードワークに徹することでガードナーがプレーしやすいようサポートし、またチームとして常にディフェンスへの意識を高く保ち、特に三遠の3ポイントシュートが当たっている中で簡単にイージーなチャンスを与えなかったことで、相手の爆発を未然に防いだ。
これで三河は2017-18シーズン以来のチャンピオンシップ進出を決めた。鈴木貴美一ヘッドコーチは「まずはホッとしています。応援してくれるファンの方々のために、勝てて本当に良かった」とウィングアリーナ刈谷のファンに感謝し、「チャンピオンシップに向けたコンディション作りとチームの約束事を徹底して、良い試合ができるよう準備したい」と語った。
それでも三河はまだ滋賀との1試合、大阪との2試合を残している。西地区2位を争う大阪との直接対決は、クォーターファイナルのホーム開催権を巡る争いとなる。チャンピオンシップ進出を決めても、まだまだ気の抜けない戦いは続きそうだ。