広瀬健太

猛追を受けるチームを終盤に立て直し、勝利の立役者に

12月2日、サンロッカーズ渋谷はブレイク明けの初戦となった横浜ビー・コルセアーズ戦に87-72で勝利した。最終的なスコアは大差だったが、第3クォーター中盤に18点の大量リードを奪いながら、第4クォーターのオフィシャルタイムアウト時には3点差にまで肉薄される苦境を乗り越えての白星だった。

特に第4クォーター最初の5分は「スコアを見ながらプレーをしてリラックスはしていなかったですが、余裕を持ちながらプレーしてしまっていた」と伊佐勉ヘッドコーチが振り返るように集中力が欠けていた。それでも、オフィシャルタイムアウトを機に立て直し、その後は14-2と圧倒した。この時間帯で存在感を放ったのがベテランの広瀬健太だった。

タイムアウト明けに交代でコートに入った広瀬は、直後のプレーでピンポイントのバウンドパスを通し、チャールズ・ジャクソンの豪快なダンクを導くアシストを記録。持ち前の激しいディフェンスに加え、残り2分41秒にはスティールしたベンドラメ礼生のパスを受け、巧みなステップからリードを9点に広げるレイアップを決めた。

試合序盤に頭部を負傷し、応急処置でテーピングを巻きながらのプレーとなり、得点は2に留まったが5アシスト4リバウンド2スティールと、いぶし銀のベテランらしさ全開で存在感を発揮した。

試合後、広瀬は前半と後半で対照的な内容となった試合をこう振り返った。「ブレイク前、最後の試合で自分たちの思っているようなことができなかった。そこからブレイク中は自分たちの良いところ、アイデンティティを確認して、良い内容の練習ができて今日の試合に臨みました。最初の20分間は、自分たちのやろうとしていたことがしっかり出せましたが、そこで気が緩んだのが、無意識の内に後半は前半にできていたことができなくなってしまった。ズルズルと行ってしまいそうなところでしたが、最後の5分でやるべきことを思い出せて勝てたのは良かったです。次の試合では40分間、やるべきことをコートで表現できるようにしていきたいです」

そして、自身のパフォーマンスについては次のように続けた。「出てすぐにケガをしてしまいました。前半はチームの調子も良かったので今日はあまり出番がないのかもと思いましたが、後半の最後の5分、自分たちのプレーを思い出した時間帯にしっかりプレーできたのは良かったと思います」

広瀬健太

「やるべきことがまだまだ足りていないと感じた試合でした」

最終クォーター前半、試合は完全な横浜ペースでこのまま一気に飲み込まれてもおかしくなかった。オフィシャルタイムアウトによって試合の流れが切れたとはいえ、ここで完全に立ち直ることができたのはSR渋谷にとって一つの収穫だった。

ここで立ち直ることができた要因を広瀬はこのように語った。「コートに出ている5人は、しっかり引き締めなければいけないと共通認識を持っていました。今シーズンは特に試合が止まった時、意思の統一を図るためにハドルを組んで5人でなんでもいいからコミュニケーションを取るようにしています。また、オフェンスで流れが悪い時、個人技に頼ってしまう時間帯があるので、そうならないようにしっかりボールを動かすことを意識しようと心がけていて、それが最後の5分に出たと思います」

そして、タイムアウトで良い過ごし方ができたことも大きかったと広瀬は言う。「タイムアウトは選手同士でまず話をして、その後でコーチから指示をもらっています。オフィシャルタイムアウトは他に比べて時間が長い中、あの時は選手たちでポジティブな良い会話ができました」

まだシーズン前半とはいえ、難敵揃いの東地区を勝ち抜きチャンピオンシップに進出するには、勝てる試合を確実にモノにすることが不可欠。「勝ってよかったというより、自分たちのやるべきことがまだまだ足りていないと感じた試合でした」と、勝って兜の緒を締める広瀬だが、勝ち切れたことに意味があることも事実だ。

12月、SR渋谷は天皇杯の3回戦も含めると、5日から27日にかけて10試合をこなすことになる。これだけタフなスケジュールになれば、心身ともに消耗は避けられず、今回のように集中力が欠けてしまう時間帯がどうしても出てきてしまうかもしれない。そういう時にこそ、しっかり状況を把握し、自らのプレーでチームを正しい方向へと導ける、広瀬のようなベテランの存在はより大きなものとなる。