スピード不足と判断力の難を改善できず評価を下げる
トレイルブレイザーズはディアンドレ・エイトンの契約最終年を買い取り、彼をフリーエージェントとした。エイトンは213cmの高さと強靭なフィジカルを備えたセンターで、2018年のNBAドラフトではルカ・ドンチッチやトレイ・ヤング、ジャレン・ジャクソンJr.を差し置いて全体1位指名を受けた選手だが、7年目のシーズンを終えて所属チームを失った。
サンズに指名されたエイトンは、ルーキーシーズンから不動の先発センターとしてペイントエリアの守備とリバウンドを一手に担い、勝てなかったチームが優勝候補へとステップアップするのに貢献した。
しかし、動きが重くて判断力に問題がある彼のプレーは悪目立ちし、好不調の波が激しい中で悪い部分ばかりが話題にされ、フェニックスのファンの支持は得られなかった。ピック&ロールのスクリーナーとして、またアリウープのフィニッシュ役としてエイトンを使いこなしたベテラン司令塔、クリス・ポールとのコンビが解消されると、その判断力の難はさらに目立つようになった。
2023年オフに、デイミアン・リラードをバックスに放出する大型トレードの一部としてブレイザーズに移籍。ポートランドのファンとの関係は良好だったが、勝てないチームに来たことで彼の評価は上がらなかった。
ブレイザーズは昨年のドラフトで獲得したドノバン・クリンガンが先発を任せられるだけの力強いプレーを見せており、今年のドラフトではヤン・ハンセンを指名。ロバート・ウィリアムズ三世も含めセンターの戦力は十分に揃っており、3500万ドル(約53億円)の契約最終年をバイアウトしてエイトン放出を決めた。
おそらくブレイザーズはトレードも模索したが上手くいかなかったのだろう。NBAで7年が経過しても課題であり続けている判断力に改善の見込みはないのかもしれない。プロ意識の欠如もしばしば指摘され、彼にオファーを出すクラブは現れなかった。
しかし、年俸3500万ドルは払えなくても、バイアウトを経てはるかに安い金額で獲得できるとなれば話は別だ。リムプロテクト能力は折り紙付きだし、オフェンスでも役割を限定して、クリス・ポールのようにサイズとパワーを生かす司令塔がいれば強力なフィニッシャーとして機能する。
エイトンにとってバイアウトは屈辱だが、次は本当の意味で彼を必要とするチームでプレーできる機会となる。そして彼は、優勝争いのできるチームでのプレーを望んでいるとされる。信用を失墜させた元ドラフト1位が、新天地で再起なるか。どのチームがどんなプランを持ってエイトンを組み込むかに注目だ。