櫻井照大

決勝で東山の佐藤凪を徹底マーク「自信につながる」

福岡大学附属大濠の片峯聡太コーチは、櫻井照大に妙な愛称をつけている。

「『さくらいてった』でなくて『うるさいてった』って呼んでるんです。相手からしたら、オフェンスもディフェンスもやかましいだろうなと。で、あのピンクのバッシュね。本当はもう少し淡いピンクのものを頼もうとしたらサイズがなくて、でもあいつが『僕はピンクがいい』みたいなことを言うから、ショッキングピンクを履かせたけど……もう上から下までうるさくてねえ」

自身の苗字にもリンクするピンクは、櫻井にとって特別な色のようだ。チーム初の連覇で閉幕したウインターカップの表彰式後、本人に片峯コーチの話を向けると、「ピンクのバッシュは自分のモチベーションというか。先生からは『プレーが派手だし性格が破天荒だからバッシュだけは抑えめにしろ』って言われたんですけど」と笑って教えてくれた。

榎木瑠旺の控えガードとしてコートに立った櫻井は、初戦の報徳学園戦から実に『うるさいパフォーマンス』で見る者の目を惹きつけた。今大会におけるメインミッションはディフェンス。身長プラス10cmという日本人離れしたリーチと高い脚力を生かして、マークマンをひっつき回し、ボールに手を出し、決勝の東山戦ではエースの佐藤凪にほぼ仕事をさせなかった。

櫻井は佐藤とのマッチアップを次のように振り返る。「去年からマッチアップさせてもらって、クセだったりもいろいろ分かっているので。やっぱり3ポイントシュートが当たったら流れに乗られてしまうので、その部分は徹底して抑えようと思って試合に入りました。それでも得点を取られてしまって悔しい部分はたくさんあるんですけど、止められた部分もあったと思うので、これからの自信にもつながると思います」

また準決勝の鳥取城北戦は、ハイポストにポジショニングした櫻井が的確にパスをさばいたことが、相手のゾーンディフェンス攻略と3点差の接戦を制する大きな要因となった。片峯コーチも「あれが彼のいいところ」と称賛していた。

個人スタッツに突出したものはないが(鳥取城北戦の8リバウンド1ブロックはガードとしては異色の数字ではある)、福岡大学附属大濠がこの大会を制するにあたって櫻井の活躍は非常に大きいものだった。

櫻井照大

3年生のありがたみを知ったトップリーグ

片峯コーチは11月8日に行われた『U18日清食品トップリーグ』の東山戦に、3年生を帯同させなかった。チームは前の週に行われたウインターカップ県予選決勝で福岡第一に大敗。アイデンティティが揺らいでいた3年生に、自分たちがチームの精神的支柱であることを再確認させることがねらいだったと片峯コーチは説明したが、これはこの試合に出場し、敗れた下級生たちに3年生の存在の大きさを実感させることにも繋がっていたようだ。

櫻井はこの大会、自分がコートに立たないときも5人の輪の中に加わり、しきりに声をかけていた。理由を尋ねると、「日清リーグの東山さんとの試合で、3年生のありがたみが分かったので。いつも頼ってばっかりだったなと気づいたので、自分もリーダーシップを持って、しっかり3年生を引っ張るようなイメージでやっています」という答えが返ってきた。

昨年のウインターカップは、メンバー入りはしたもののプレータイムはごくわずかだった。代が替わり、榎木の控えとして試合に出ることが増えても「どうやったら活躍できるのか」「何をすればチームの勝利に貢献できるのか」と悩む日々が続いた。しかしトップリーグを戦ううちにディフェンスやリバウンド、ゾーンブレイクの核としての存在意義を見出し、前述のとおり少しずつリーダーシップも芽生え始めた。

選手としての理想像は決勝でマッチアップした佐藤。「3ポイントの確率が悪くて自信を持って打てていないので、練習して、ディフェンスに離された時は自信を持って打てるような選手になりたいと思います」と話しつつ、「(勝又)絆さんや瑠旺さんたちがずっと引っ張ってくれたので、自分も率先してリーダーシップを持ってやっていきたいです。3年生にいい景色を見せてもらえたので、来年は自分が後輩にこういう景色を見せてあげられるように頑張りたいです」とも語った。

櫻井照大

うるさい→おもろい→次は果たして……?

自覚する性格は「自由人」。くわしくは割愛するが、その自由さゆえに片峯コーチからは何度かカミナリを落とされているようだった。鳥取城北戦後、片峯コーチは「僕はまだ納得がいってない」としつつも「あのうるささがチームにとっていいスパイスになっている」と櫻井を評していたが、決勝終了後には「今日は『うるさいてった』から『おもろいてった』になった」と話していた。

「うるさい」から「おもろい」の変化が一体何を指すのか、片峯コーチに直接聞くことは叶わなかったが、最上級生となる来シーズンを通して櫻井がどのように成長し、来年のこの大会でどんな愛称をつけられているかが楽しみだ。