
「後悔することなく自分の全力を出しきれました」
鳥取城北はインターハイを優勝すると、2冠を目指して臨んだウインターカップでも接戦を次々と制する勝負強さを発揮して勝ち上がってきた。しかし、ベスト4では優勝した福岡大学附属大濠に66-69とあと一歩及ばなかった。
頂点を逃したことに満足している選手は鳥取城北にはいない。しかし、昨年の準優勝に続いての4強入りにインターハイ制覇と、鳥取城北が2025年の高校バスケットボール界を代表するチームであったことは間違いない。
司令塔の新美鯉星、エースのハロルド・アズカと共に3年生フォワードの豊村豪仁は、昨シーズンから先発を務める中心メンバーとして、鳥取城北の快進撃を支えてきた。大濠戦後、豊村は「これまでウインターカップで優勝するために練習をやってきました。去年は2位で今年は3位という結果で悔しいです。ただ、メインコートに立って最後に城北らしいバスケットで、良いゲームができました。そこは良かったと思います」と語った。
そして「40分間、後悔することなく自分の全力を出しきれました」と完全燃焼できたと続ける。
また、豊村は仲間の献身的なサポートがあったからこそ、後悔なくやりきることができたと感謝を強調する。「アズカ、鯉星と僕は1年生から試合に出ていましたが、ベンチに入ってもコートに立てない選手や、スタンドで応援している仲間がいます。3年生になってなんとしても試合に出たいという気持ちがある中、ベンチやスタンドから何一つ文句も言わずに僕たちを応援してくれました。最後、負けた時も『よくやった』と言ってくれました。1年生、2年生もスタンドで仮装して応援してくれたり、僕たちのためにあれだけのことをやってくれて本当に良い後輩を持ったと感謝しています」
大濠戦、豊村は8得点4リバウンド3アシストと攻守に渡って奮闘。また、大濠の注目選手、白谷柱誠ジャックのマークにつき、フィールドゴール19本中5本成功で、12得点に抑える見事なディフェンスを披露した。
豊村は、白谷とのマッチアップをこう振り返る。「彼はフル代表の合宿にも参加し、これまで世代別の代表でエースとしてチームを背負っています。身体能力が高く、ステップの一歩が大きくてシュートタッチも柔らかい、彼みたいな実力を持った選手のマークについたことはなかったですけど、バチバチにやりあえて楽しかったです」

最も成長した部分は「心」
この試合に限らず豊村は大会を通して、攻守に渡り安定したプレーを見せた。スタッツ面でずば抜けた点はなくても、守備の隙をついて効果的にシュートを沈め、185cmと4番ポジションではサイズがない中でフィジカルの強さと鋭い読みを生かした堅実なディフェンスも光った。ここ一番で活躍するなど、高校生らしかぬ落ち着いたプレーが印象に残った豊村だが、それは成熟したメンタルからきている。
高校3年間で最も成長できた部分を聞くと、豊村は「多分、心だと思います」と語る。「1年生の時は少し試合に出させてもらって2年生からスタメンとなり、3年生は自分がチームを引っ張る気持ちでプレーしてきました。高校に入る前は自分が中心選手になって、ここまでチームとして上に行けるとは思っていなかったです。3年間を通していろいろな経験をさせてもらえたからこそ、心の部分で成長できたと思います」
そして、目指す選手像をこのように表現する。「コートの中で誰よりも声を出して、味方がしんどい時にこそ声をかけられる選手になる。プレー面では持ち味であるリバウンドやフィジカルを生かしたプレーでチームの勝利に貢献していきたいです」
これからも豊村がチームの中心として活躍するには、外角のシュート力により磨きをかけ、2番、3番へとポジションアップすることが必要となってくる。だが、心技体と大事な3つの要素の内、豊村はすでに次のステージでも通用する心と体を備えている。ここからスキルアップし、どんな選手へと進化をしていくのか、その行方を楽しみにしているバスケットボールファンは多い。