残り1分半での勝ち越し弾を含めシーズンハイの16得点
4月16日、アルバルク東京はシーホース三河とホームゲームで対戦し、73-67で競り勝った。中地区2位のA東京はこの勝利により、同3位の三河とのゲーム差を4に広げることに成功している。
試合は序盤から両チームともに相手の激しいディフェンスプレッシャーに苦しみ、イージーシュートを落としたりミスが増えるなどオフェンスの波に乗れない時間が続いた。
ロースコアで試合が推移していく中、A東京は第4クォーター残り3分で5点ビハインドと劣勢に立たされる。だが、ここでA東京は底力を見せる。オフェンスではライアン・ロシター、福澤晃平がここ一番で外角シュートを沈め、守備でもターンオーバーを奪取。攻守でビッグプレーを繰り出し、見事な逆転勝利を収めた。
この試合、A東京の勝因はディフェンスに加え、ベンチスタートの福澤が12分19秒の出場で3ポイントシュート4本中4本成功の16得点と、ゲームチェンジャーの役割を果たしたこと。特に第4クォーターは同点で迎えた残り1分19秒の勝ち越し3ポイントシュートを含む8得点と大暴れだった。
シーズン終盤の大事な試合でシーズンハイの活躍を見せた福澤は「チャンピオンシップ出場は決まりましたが、ホーム開催を勝ち取るために同地区で順位を競っている相手に勝てて良かったと思います」と、勝利の意味の大きさを語る。
最後の逆転3ポイントシュートが生まれる直前、福澤はA東京の中心選手である小酒部泰暉と交代で投入された。首脳陣の期待にしっかりと応えたプレーをについて福澤は振り返る。「想定していた形は少し違いましたが、『打って良い』と言われていました。僕個人としても調子が良く、スクリーンがかかって打てる形でした。積極的にいこうと考えていた中、迷いなく打ち切れて良かったです」
A東京在籍2シーズン目となる福澤は、オフにフィジカル面を鍛え上げたことで守備力を高め、1年目から着実にプレータイムを増やし、存在感を高めていた。しかし、3月15日の天皇杯決勝ではボール運びの途中にターンオーバーを犯し、琉球ゴールデンキングスに試合の流れを受け渡す痛恨のミスをしてしまった。49-60で敗れたこの試合、わずか1分27秒のプレーに留まった福澤の出番はリーグ戦再開後も減り、厳しい時期が続いた。
「自分の実力不足で、ああいう大舞台で取り返しのつかないミスをしてしまったことはチームに申し訳なかったです。信頼して起用してくれたコーチ陣にも申し訳なくて、けっこうしんどかった時もありましたが、絶対に忘れてはいけないこと。一発勝負だったのでもうミスを取り返すことはできないですから」
指揮官「精神面もタフで状況判断が素晴らしい」
このように天皇杯決勝は、今でも消えない痛みとして残っている。だが、厳しい結果を彼はしっかりと受け止め、いつも通りのハードワークを続けた。福澤は語る。
「できることは、しっかり前を向いてBリーグのチャンピオンを取りにいくこと。いろいろとしんどくなった時はありましたけど、それで精神的に病んで努力をしなくなったらあのミスがムダになってしまうので、そこは切り替えるしかない感じでやりました」
今回の福澤の活躍をチーム全員が祝福した。デイニアス・アドマイティスヘッドコーチは試合終了後に福澤を抱え上げ、試合後に囲み取材を受けている福澤の様子を見にくるなど喜びを爆発させていた。指揮官は辛い時期を乗り越えた福澤の活躍を「すべてが繋がっています」と日頃の努力の成果と強調する。
「アシスタントコーチやスタッフと一緒に具体的なミーティングを行い、その中で映像を見ながら良いところ、悪いところを指摘し、彼がしっかりとその情報を生かして練習からステップアップしてくれたと感じてくれています。彼はフィジカルだけでなく、精神面でもタフで強い選手で、状況判断が素晴らしいです。今日はナチュラルポジションである2番(シューティングガード)でプレーし、良い仕事を見せてくれました。今後も彼の活躍がチームにとって必要です」
A東京ではポイントガードでの起用が大半の福澤だが、A東京加入以前はシューターとして結果を残してきた。「(4月5日、6日の)千葉ジェッツ戦、チームがシューターセットを作ってくれたのに僕が打たなかった時、コーチ陣やまわりの選手から『なんで打たないんだ』と言ってもらえました」というエピソードからも分かるように、彼の外角シュートに対するチームの信頼は厚い。
A東京は、再現性の高いプレーを突き詰めることで遂行力を高めていくスタイルなため、良くも悪くも起用法は固定化されていた。その中で今回、これまで終盤に出番がなかった福澤を起用し、彼がしっかりと期待に応えたことはチャンピオンシップに向け戦術の幅を広げる意味でも大きな価値がある。今後、福澤が状況によって1番と2番を兼ねるコンボカードとして出番を増やすことができれば、彼はポストシーズンにおける貴重なXファクターとなれる。
福ちゃんを抱き上げるアドHC😂
福澤の活躍に、選手たちも笑顔が溢れる🙌@Kohei_Fukuzawa2#アルバルク東京 #Bリーグ https://t.co/LcVvBfkLJ6 pic.twitter.com/vnC9zipgUL
— アルバルク東京【ALVARKTOKYO】 (@ALVARK_TOKYO) April 16, 2025