納見悠仁

9本のフィールドゴールと24分の出場時間は今季最多

川崎ブレイブサンダース在籍2シーズン目の納見悠仁が、新しいチャレンジに取り組んでいる。

移籍初年度となった昨シーズン、納見は主に2番ポジション(シューティングガード)としてゲームに起用され、思い切りのいいアタックと得点でチームを盛りたてていた。しかし現在はポイントガードとしての独り立ちを期待されているのだ。

11月11日に開催された群馬クレインサンダーズ戦の第1戦、佐藤賢次ヘッドコーチはスターターに篠山竜青と藤井祐眞の2人のポイントガードを起用し、納見にセカンドユニットの司令塔という役割を与えた。そして納見はトーマス・ウィンブッシュ、野崎零也、ロスコ・アレンらの得点をデザインしつつ、ともにシーズンハイとなる9本のフィールドゴールと24分のプレータイムを得た。

84-63で勝利し、うち62得点をベンチメンバーがとったこの試合、佐藤ヘッドコーチは納見を「ポイントガードとして本当に素晴らしいプレーをしてくれた」とたたえ、納見も次のように手応えを語っている。

「ファーストチームで得点を稼ぐパターンが多かったこのチームにとって、セカンドユニットでそれができたというのはとてもポジティブなことだと思います。ロスコやトムが個人的に打開してくれた部分もあったけど、相手の弱いところと自分たちの強みを考えながらプレーして、リードを一気に詰められるような時間帯を作ることなくやれました。コーチ陣からも試合中『いいコントロールができているよ』と言っていただけました」

役割の変更について、指揮官から明確なアナウンスがあったわけではない。「去年の最後のほうは2番でハマっていたし、今年も同じようなイメージを持って入っていたので、最初はけっこう苦労するところがありました」と納見は振り返り、木下博之アシスタントコーチを筆頭としたコーチ陣の助言を受けながら、少しずつマインドを切り替えていったと明かす。

納見悠仁

ハドルで声をかけ、仲間のシュートにガッツポーズ

刻一刻と変わる試合状況やメンバーの編成に応じて、的確なオフェンスを選択するゲームコントロールの感覚は、当然ながら短期間で備わるものではない。翌日の第2戦まで通して見れば、判断の迷いからゲームクロックをいたずらに減らしたり、シュートの思い切りに難を感じられるシーンがいくつかあった。しかし、しきりにハドルを組んで言葉をかけ、仲間が決めたシュートに何度も拳を握った納見の振る舞いは、確かに司令塔のそれだった。

佐藤ヘッドコーチはそんな納見に対して「ポイントガードとして、今チームに何が必要か、どういうゲームコントロールが必要かを考え、それを周りに伝えながらやれている。このまま続けていってほしい」と期待を寄せており、納見自身の気持ちも前を向いている。

「コーチと話をしていて、いいことも悪いことも練習からどんどん積み重ねて慣れていくことが大事なんだなと思うようになりました。自分の強みも生かせず、周りの強みも生かせず、判断が後手になってミスになることもあります。だけど、ちょっとずつでもいいから練習からコミュニケーションを取って、ミスを消していくことがより良い選択を生むし、自分のプレーにもチームにも良い方向につながっていくと思うので。そこの勉強は今後にも絶対生きると思うので、ポジティブにやっていきます」

ここ数年、控えメンバーの得点力に課題を抱えてきた川崎だが、今シーズンは現状これを解消する目処が立ちつつある。納見がセカンドユニットのリーダーとして成長を遂げられれば、チームの力はさらに盤石なものになるだろう。