デマー・デローザン

「コートに立っている時の心地良さ、喜びと幸せは、自分らしくいられるから」

第3クォーター終了時点で103-89。第2クォーター途中で逆転してから着実にリードを伸ばしたホームのセルティックスが危なげなく勝つ展開だった。ブルズはエースのデマー・デローザンが17本中12本のフィールドゴールを決めて27得点と気を吐いていたが、後が続かない。28得点のジェイレン・ブラウンを筆頭にセルティックスはこの時点で5人が2桁得点を記録し、個人で押すのではなくディフェンスから走り、オフェンスリバウンドを押し込むチームバスケットが機能していた。

しかし、そのセルティックスを突然のブラックアウトが襲う。危なげなく時計を進めようと慎重になった結果、ディフェンスの外でパスを回すだけで時間を使い、最後は個人で無理な突破を試みてはブルズの速攻を浴びた。逆にブルズは時間を掛けずに仕掛け、テンポが速すぎるが故にミスが出ても臆することなく、さらにスピードを上げてセルティックスを攻め立てた。

開始3分半で12-0のラン。マーカス・スマートがフローターを沈めるも、リードする時間がわずかに伸びたに過ぎなかった。残り7分、アヨ・ドスンムの3ポイントシュートでブルズが106-105と逆転に成功した。どちらも若いチームで、その時の勢いが顕著にパフォーマンスに表れる。後手に回ったセルティックスは浮足立ち、なかなか立て直せない。このクォーター、ブラウンとデニス・シュルーダーは無得点、テイタムは2得点。ベテランのアル・フォーホードだけが、プットバックダンクに鋭いドライブからのバスケット・カウント奪取など気を吐いてリードを2度奪い返したが、流れを変えるには至らなかった。

ブルズの勢いを象徴したのはザック・ラビーンとアレックス・カルーソだ。ラビーンは第4クォーターに13得点を固めた。すべてがリムにアタックして挙げた得点で、相手守備を自分に引き付けてスペースを作り出した。カルーソはチームの積極性を象徴するパフォーマンスを見せた。オフェンスファウルを取られたり、ターンオーバーがあったりとミスもあったが、前へ前へと突き進む姿勢は全く衰えなかった。

勢いだけでは長続きしないものだが、そこを繋いだのが経験のあるデローザンだった。ディフェンスのギャップを突くミドルレンジのプルアップを決めるだけでなく、慌てるセルティックスから巧みにファウルを引き出し、フリースローで着実にリードを広げていく。残り2分、決めればトドメとなる3ポイントシュートが取り消されても彼は動じなかった。残り1分16秒、同じ左コーナーからの3ポイントシュートを今度はきっちり沈めて124-112。これで勝負は決した。

ブルズは2日前には無敗のジャズを止め、今回はセルティックスに痛快な逆転勝ち。デローザンは「ウチには劣勢をはねのける力がある。敵地で厳しい戦いを強いられたけど、僕たちは動じなかった。セカンドユニットがエネルギーをもたらし、先発の僕たちがそれを引き継いだ。ブルズは全員が結束して戦うチームなんだ。それを証明できた試合だったと思う」と逆転劇を振り返った。

そしてデローザンは、ブルズでの充実感をこんな言葉で表現している。「僕はここに来て自分らしくプレーできている。コートに立っている時の心地良さ、喜びと幸せは、自分らしくいられるからだと思うよ」

6勝1敗はリーグトップの成績。ブルズの勢いはどうやら本物だ。新たにスタートしたばかりのチームだけに、伸びしろもまだまだありそうだ。