ホーバスHC「楽しんでプレーしてくれたと思います。彼はタフキッドです」
バスケットボール男子日本代表は、11月21日にアジアカップ2025予選Window2でモンゴル代表と対戦し、93-75で快勝した。
シーホース三河の西田優大は27分45秒のプレータイムで3ポイントシュート8本中7本を成功させて21得点を挙げ、さらに12リバウンドのダブル・ダブルを記録。富樫勇樹、比江島慎、吉井裕鷹のパリ五輪代表組、そして今回が代表デビューとなったアレックス・カークと共に先発メンバーとして安定のプレーを披露し勝利の立役者となった。
西田は当初、合宿招集メンバーから外れていたが、複数のメンバーがコンディション不良などで合宿を辞退したことで緊急招集を受けた。トム・ホーバスヘッドコーチは「西田を最初に選ばなかったのは、彼についてはすでに分かっていて、他の新しい選手を試したかったからです」と、最初から招集しなかった理由について言及。
そして追加招集をしたのは西田への厚い信頼があったからであり、この活躍ぶりに目を細めた。「キャンプに参加できないメンバーが増えて、経験あるメンバーが(ガード陣で)富樫とマコ(比江島)のみになりました。それでもう1人経験のある選手が必要となりました。西田は普段コンボカードですが、今日は3番でした。今までと違う状況でしたが、彼はシュートを最初からよく決め楽しんでプレーしてくれたと思います。そしてリバウンドが素晴らしかったです。彼のオンボールディフェンスは傑出していますし、彼はタフキッドです」
緊急招集からの先発起用という珍しい使われ方となったが、西田は平常心を心がけてプレーしていたという。「何かを特別意識することはなかったです。トムさんも分かってくれていると言ってくれていたので、僕らしいプレーをしようと思って臨みました」
「もちろん新しく入ってきた選手たちに負けたくない気持ちもあります」
ちなみに招集を受けた際は「完全にオフモードで、(地元の)徳島に夜中に着いて、次の日の夜にトンボ帰りして合宿入りしました」と慌しかったという。一度リラックスした中で、心身ともに戦闘モードへとすぐにスイッチを入れるのは簡単なことではない。だが、西田は一切の言い訳をするつもりはなく、熱い思いを持ってこの試合に臨んでいた。
「ケガ人とかコンディション不良でメンバーが揃わない時だけ呼ばれる選手と思われるのが嫌で、しっかり結果を出せればと思ってこの試合に臨みました。トムさんの求めていることにはしっかりと応えられたと思います」
今回は代表活動の少ない、もしくは初めてのメンバーが多くロスターに名を連ねた。それだけに、代表の常連である自分が遅れを取る訳にはいけないという意地もあった。「これだけ長い間、トムさんの下でやらせてもらっていますし、もちろん新しく入ってきた選手たちに負けたくない気持ちもあります。今回はこういった結果を残せて良かったと思います」
これまで、ホーバス体制下での西田は2番ポジションを軸に、状況に応じて1番もこなすコンボガードの役割が主だったが、今回は3番ポジションでも結果を残した。「元々、1から3番でプレーできることが僕の強みで、トムさんが求めていることをやろうとしてプレーしました」と、本人にとっては3番起用も違和感がなかった。
そして、ホーバスヘッドコーチはこのように西田の献身を称える。「これまで西田は代表に入って先発メンバーになったり、(五輪で)代表落ちしたり波がすごくあります。その中で今日のプレーは彼のためにもうれしいです。彼は本当に良い人で、チームのためになんでもやってくれます」
西田の3番起用はモンゴルがサイズ不足のチームだからこそ可能で、欧州勢を相手にした時は現実的ではないだろう。それでも、これから日本代表の主なターゲットは来年のアジアカップ制覇、さらにワールドカップのアジア予選を勝ち抜くことであり、舞台はアジアとなる。Bリーグとの過密日程の中、今回のようにコンディション不良などで今度もベストメンバーが組めないことは十分にあり得る。その中で、西田が3番でもしっかり貢献できると示してくれたことは、日本代表の選手起用の幅を広げてくれる意味でも明るい材料となった。