今年6月のアジアカップ予選では、日本代表を攻守に圧倒して連勝
8月31日に行われたワールドカップ予選の組み合わせ抽選で、日本は中国、オーストラリア、チャイニーズタイペイと同じグループに入った。今年11月の最初のウインドウで、ホーム&アウェーで連戦となる相手が中国だ。
ここ数年、中国は過去にない不振に苦しんでいる。2019年のワールドカップは自国開催で世界を相手に躍進が期待されたものの、結果はコートジボワールに1勝を挙げただけでグループリーグを突破できず、ここでアジアのチームで1位になれなかったことで世界最終予選に回ることに。今年6月の世界最終予選ではカナダとギリシャに完敗を喫した。自国開催のワールドカップでの失敗、さらに1984年のロス五輪から続いていたオリンピックの連続出場が途切れた今は非常事態だ。
オセアニアからオーストラリアとニュージーランドがアジアに編入されたことに加えて2人の現役NBAプレーヤーを擁する日本の台頭もあり、中国がそれまで持っていた『アジアの1強』という印象は薄れた。それでも、アジアでは突出したタレントを擁するバスケ大国であることに変わりはない。ワールドカップ後に若手への切り替えを進める中国は、今年6月にアジアカップ予選で日本と2試合を戦い、ともに快勝を収めている。
日本にとって中国との対戦は実に10年ぶりで、Bリーグ発足に伴い強化体制を整えてからは初めての対戦。渡邊雄太、馬場雄大、八村塁の海外組こそ不在だったが、オリンピックの前哨戦として必勝を期していた。だが、中国は若手主体ながらその日本を攻守で圧倒する。6月16日の対戦では強度の高いディフェンスで日本のゲームメークを破壊し、66-57で勝利。3日後の2試合目は内外の攻めのバランスを修正した日本に先行を許すも、後半になって追い付き、終盤に1-3-1のゾーンで日本の攻めをシャットアウト。最後は90-84と突き放して連勝を収めた。
チームの完成度としては、自国開催のオリンピックを直後に控える日本が上回るはずだったが、それを中国はねじ伏せた。国際大会の攻守のプレー強度という点で、アジアの他国とは頭一つ抜けており、今も変わらず『アジアのバスケ大国』であることを知らしめる2試合だった。
2016年のNBAドラフトで全体46位指名を受けてロケッツで2シーズンプレーしたジョウ・チーを筆頭に、高さと技術を兼ね備えたタレントが揃う。ジョウ・チーはNBAでのキャリアこそ続かなかったが、25歳とこれからキャリアのピークを迎える。ここからワールドカップまでの2年間、中国はじっくりと腰を落ち着けてチーム強化に励み、かつての強さを取り戻すだろう。アジアの中で『世界レベル』の戦いができる中国との対戦は貴重な機会。ワールドカップ予選の最初の2試合、日本がどのようなメンバー選考をして、どんなスタイルで戦うか。中国を相手に最初の一歩を踏み出せるのは、またとないチャンスだ。