山口颯斗

長崎ヴェルカに移籍して初めてのシーズンに挑んだ山口颯斗は悔しさを味わった。これまで所属したチームではスコアラーを担ってきたが、長崎で求められたのは違う役割だった。経験のないことに挑む中で、シーズンを通じて成長し、チームからの信頼を得た。チームファーストの姿勢がより強くなった山口に、新シーズンの展望を聞いた。

「新加入選手もいるが、安々とポジションを明け渡すつもりはない」

──新シーズンのロスターは半分ほどが入れ替わり、ウイングに外国籍選手が加わりました。ポジション争いも熾烈になりそうです。

新しい選手も来ましたが、チームの基盤は変わっていませんし、もちろん安々とポジションを明け渡すつもりもないです。長崎に来て感じたのは、どんなプレーをするかではなく、モーディ(・マオールヘッドコーチ)が求めていることが遂行できなければ試合に出られないということです。もうすぐ来日するので、今年は逆にこちらから「どんなプレーをしてほしいの?」と聞いてからスタートしたいですね(笑)。

──求められることをやりきる姿勢を持ちつつも、個人的に伸ばしていきたいことはありますか?

ディフェンスのスタンダードは引き続き伸ばしていきたいです。あと昨シーズンはキャリアで初めて、2ポイントより3ポイントの方が多かったんですよ。ペイントタッチは自分の武器なので2ポイントでもしっかり絡みながらも、3ポイントは40%で決めたいですね。さっき言ったケガしている間はすごく低かったですが、昨シーズンの最初と最後は高かったので、今年はシーズン通じて決められるようにします。

──プロ入り時点で、ハンドリングもシュートもかなり完成されているプレーヤーだと思っていましたが、まだまだいろんなことができる選手だったんだなと驚かされました。ご自身の中では、どんなプレーヤーになっていきたいと思っていますか?

ジェイソン・テイタムとか、フランツ・ワグナーみたいな感じですかね。オールラウンドにやっていけるのが自分の武器なので、それは発揮したいです。でも、スモールセンターみたいなことも昨シーズンできちゃったので…少し迷走してますね(笑)。でも「求められていることをやりたいです」とプロ1年目からずっと言っているので、自分しかできないことを増やしていきたいです。

山口颯斗

「ヴェルカで活躍して勝っていく中で日本代表に選ばれたらうれしい」

──求められることをやってきたら、何でもできるようになっていた感じですね。できるようになるのもすごいことだと思います。

でも、ガードだけはもういいですかね(笑)。僕、本当はポイントガードになりたかったんです。でもモーディのバスケを経験して、トップレベルのポイントガードは僕には無理だなと思って。Bリーグでやるだけだったら、頑張ればいけるかもしれないですけど、もっと上のステップに繋がることを考えると、本来のポジションでやった方がいいなと思いました。

──これでマオールヘッドコーチが来日して「今年はポイントガードだ!」と言われたらどうします?

そしたら頑張りますよ(笑)。茨城の時とかにやっていましたし。頑張りたいと思いますけど、ガードはないかなと。

──私もないだろうと思って聞いてますので、大丈夫ですよ(笑)。では、今シーズン勝つためにどのようなことがポイントになってくると思いますか?

本当にリバウンドとディフェンスですね。琉球(ゴールデンキングス)と対戦した時に、(ジャック・)クーリー選手や(アレックス・)カーク選手だけではなく全員でリバウンドを獲りに行く姿勢が戦場のようでした。Bプレミアになったらわかりませんが、現状はそこに負けないようにしなければいけないです。その中でヴェルカの色を出せたらなと。ウイングの外国籍選手もいるので、スピード感のあるプレーも見せたいです。

──日本代表でのプレーも期待されていると思います。

選ばれたら頑張りたいと思っていますし、合宿に参加した際には一生懸命やっています。ただ、代表だけにフォーカスするのは、僕の性格的にできないので、まずはヴェルカにフォーカスして、活躍して勝っていく中で選ばれたらうれしいですね。

──長崎は創設して5シーズン目を迎える新しいクラブですが、ファンにどのような印象を持っていますか?

ハピネスアリーナができてからしか知りませんが、良い意味ですごく熱いです。コート上で集中しているとファンの声は聞こえないタイプですが、終盤のディフェンスコールはすごくて耳に入ってきます。それが力になるので、ありがたいですね。あとフリースローも落とさせてくれているので、本当にまだ4年目のクラブなのかなと思いながら、ありがたくバスケをやらせてもらっています。

──では、最後に応援してくださっている方へのメッセージをお願いします。

ヴェルカ2シーズン目になりますので、個人としてもチームとしても結果を求めて頑張っていきます。優勝する姿をお見せしたいですが、まずはホームでのチャンピオンシップ開催を目標に一つずつ積み重ねていきます。僕のこともヴェルカのことも応援していただけたらうれしいです。