
1つのターンオーバーが大きく影響する試合
バスケットボール男子日本代表は8月8日、『FIBA アジアカップ 2025』のグループフェーズ第2戦でイランと戦い、70-78で敗れた。
勝敗を分けたのは終盤の『遂行力』の差だった。同点で最終クォーターを迎えた日本は残り4分を切った場面で富永啓生の得点により70-67と一歩前に出る。しかし、すぐに3ポイントシュートを許して同点に追いつかれると、連続で3ポイントシュートを決められてしまう。ここで踏みとどまりたいところだったが好調の富永が軽率なプレーでファウルアウトとなると攻め手を欠き、ターンオーバーもかさむなどチームオフェンスが停滞。対照的に、攻守ともに精度の高いプレーを遂行したイランにラスト約4分間で9-0と突き放され、接戦を落とした。
吉井裕鷹はファウルトラブルで思うようなプレーができず、ジョシュ・ホーキンソンも6ターンオーバーを犯すなど、シリア戦のように違いを生み出すことができなかった。代表での豊富な経験を持ちバランサーとしての役割を期待された富樫も、イランのチームディフェンスに苦しめられた。「Bリーグでもビッグマンがピックのディフェンスで僕の前に飛び出てくることがありますけど、今回は2歩3歩と高い位置まで出てきました。横にパスで繋いで、ダイブしてくれる5番の選手に違う角度から繋ぐというのが、このゲームはほとんどできなかったです。相手のゲームプランの遂行力が高く、それにハマってしまいました」
富樫はシリア戦で12分45秒のプレータイムながら9得点3アシストを記録。老獪なプレーで勝利に貢献したが、イラン戦では2得点3ターンオーバーとチームを救えなかった。「うまくコントロールできなかったです。解決策はあったと思うので、チームとして試合の中でアジャストしていかなくてはいけない」と反省を口にする富樫は、相手のプレーを称賛しつつ、冷静に敗因を分析した。
「一つひとつの判断が重要でした。こういうゲームは1つのターンオーバーだったり、スイッチミスなどが響くゲームで、最後に遂行力の差が出てしまいました。シンプルに6番(24得点のモハメッド・アミニ)と3番(22得点のシナ・バヘディ)の決定力がすごいというか、自分たちのベストと思えるショットブロッカー(ホーキンソン)の上から決められているので、それは決めた相手を褒めるしかないと思います」
イランに敗れたことで本日行われるグアム戦は必勝が求められる。そのためには富樫が言うように、遂行力の高いプレーを40分間集中して継続することが最も重要だ。