西田優大

「コンディションが上がってゲームシェイプができてきた」

810日、『FIBAアジアカップ2025』のグループリーグ第3戦が行われ、男子バスケットボール日本代表は102-63でグアムに圧勝した。

日本は試合序盤からテンポよくパスが回り、第2戦のイラン戦に続き富永啓生の3ポイントシュートが爆発。他の選手も積極的に放ったシュートを確率良く沈め、27-15と主導権を握る。第2クォーターは西田優大がトランジションからのレイアップ、3ポイントシュートと活躍して勢いを与え、終了間際には富樫勇樹、ジョシュ・ホーキンソンの連続3ポイントシュートが飛び出し、52-33と大量リードを奪った。

後半に入っても日本は危なげない試合展開でリードをキープし、第4クォーター序盤に主力を下げて楽々と逃げ切った。グアムは元々ベンチ入りメンバー10人で今大会に臨んでいる上に、過去2試合連続30分以上プレーしていたジェリコ・クルーズが故障欠場。駒不足に加え、エースガードを欠くチームに盛り返せる力はなかった。

グアムが満身創痍であったことを考慮しても、オフェンスの失速で競り負けたイラン戦の嫌な流れを100点ゲームで払拭できたのは大きい。中でも、過去2試合で3得点の西田が3ポイントシュート3本成功を含む16得点を挙げたのは明るい材料だ。

試合後、西田は「もちろんシュートを打つこと、得点を取ることが好きなので、そういう意味で少しホッとしているところはあります」と語り、次のように手応えを得ている。「今まではシュートを真っすぐ打てていても、短かいことがありました。今はタッチも良くなるなどコンディションが上がって、ゲームシェイプができてきたと思います」

また、「グアムはロースターが少なく、アップテンポな試合をすることがカギだと思っていたので、ボールプッシュはかなり意識しました」と語っていたように、3ポイントシュートだけでなく自らどんどん仕掛けていく姿も目立っていた。

西田優大

ホーバスHC「西田のディフェンスは本当に必要」

大会に入る前、西田のシュートは不安定だった。日本や韓国で行われた強化試合でシュートスランプに陥り、カタール遠征では調子を取り戻したが、大会に入ると初戦、2試合目と再び沈黙してしまった。トム・ホーバスヘッドコーチは、「この6週間、西田はすごく波が大きいです。強化試合の最初の6ゲームは3ポイントシュートパーセンテージが12%、カタールでの2ゲームは72%。今日はすごく良かったですが、それが続くかは西田に聞いてください」とコメントしている。

ただ、それでも指揮官は大きな期待を寄せている。「西田のディフェンスは本当に必要。彼のオンボールディフェンスは大きいです。オフェンスも波に乗ったらすごいです。次の試合も波に乗ってほしいです」

明日のベスト8進出決定戦、日本の相手はレバノンとなる。ここまでの戦いを見ると、レバノンはガードやウイング陣もゴール下へのアタックを積極的に仕掛けてくるチームで、コンタクトで負けないことが大切になってくる。

相手のドライブを防ぐためには、西田のタフなディフェンスが重要だ。そしてオフェンスでも日本の目指すアップテンポなスタイルを遂行するため、司令塔以外でボールを運んでいく推進役、課題となっている2点シュートの得点力向上に必要なドライブと西田に期待したい部分は大きい。

西田はこれからの決勝トーナメントに向け、自分のやるべきことをこう語る。「トムさんが僕に求めてくれることの1つにディフェンスがあります。シュートの波はありますが、その中で右肩上がりに行ければと思います。ボールプッシュをしたり、良い流れに繋がるプレーがあったらそれを続けていきたいです」

今後、西田は攻守ともに本来のプレーを見せることができるのか。日本の一番の伸び代は西田のステップアップだ。