ジェームズ・ハーデン

「良いコンディションを維持することも戦いの一部だ」

ジェームズ・ハーデンは、2020-21シーズン開幕をロケッツの一員として迎えたが、シーズン中にチームの競争力を疑問視して退団を直訴し、半ば強引に超大型トレードを実現させてネッツに移籍した。

ケビン・デュラント、カイリー・アービングとの『ビッグ3』結成のインパクトはあまりにも大きく、優勝以外は失敗という見方をされていたが、結果は東カンファレンスセミファイナル敗退。アービングとハーデンのケガという不運がなかったら結果は違っていた可能性はあるが、勝負の世界で『たられば』は通用しない。

ハーデンは、バックスとの第7戦後の会見で「多くの感情が入り混じっているけど、ただただ悔しい」と、うなだれた。

ハーデンはレギュラーシーズン終盤にハムストリングの筋肉を傷め、これが長引いた。バックスとのカンファレンスセミファイナルでは初戦に先発出場するも、わずか1分でケガを再発させてコートを去ることに。2勝2敗で迎えた第5戦で復帰したが、本来であればプレーできる状態でなかったのは明らかだった。3試合での平均は14.3得点、8.0アシスト。フィールドゴール成功率は23.8%、3ポイントシュート成功率は16.7%と信じられないほど低かったが、それでも46分、40分、そしてオーバータイムにもつれたGAME7では53分とほぼフル出場を続けたのは、バックスの厳しいプレッシャーディフェンスをかいくぐってボールを運ぶ能力があるからで、せめてこの部分ではデュラントの負担を減らそう、という考えでの起用だった。

「ここ何年かは、ポストシーズンでもケガに強くて、自分のプレーができていた。それなのに今回はハムストリングのケガのせいで上手くいかなった。フラストレーションが溜まるよ」

強行出場を続けながら、できることはすべてやったはず。それでも勝つためにはデュラントに過度な負担を強いることになり、結果として勝つこともできなかった。「僕とカイリーが抜けたことで、ケビンのストレスはあまりにも大きくなった。僕ら2人にとってもそれは辛いことだ」と語る自責の念は、ハーデンをしばらく苦しめることになりそうだ。

「オーバータイムは全員が疲れ切っていた。そんな状況なのに、ケビンがプレーメークもやってくれた。本来なら自分の仕事だから、彼にそれを強いてしまったことに腹が立ったし、ケビンには普段以上に多くの仕事をやらせてしまった」

最後の質問で来シーズンのチームについて聞かれたハーデンは「毎シーズン同じだけど、いつだってレベルアップするためにやっている。同じ状態を望む選手なんていない」と答えた。

「もし自分とカイリーのケガがなかったら、こういう結果にはなっていなかっただろう。ただ、これは言うべきではないね。良いコンディションを維持するのもバスケットボールの戦いの一部だ。球団のトップが僕たち3人を中心にしたチームを編成するのであれば、これからも成長し続けるしかない。それしか言えないよ」