「ウチは特定の選手を探してパスを出さなくても、誰でも得点できる」
サンズのクリス・ポールは36歳の大ベテランだが、そこに衰えは全く感じられない。ナゲッツとのカンファレンスセミファイナル第2戦、ポールは31分のプレーで17得点15アシスト、そしてターンオーバー0を記録。チームは4つのクォーターすべてで上回る123-98の完勝を収めた。
デビン・ブッカーは「15アシストもすごいけど、ターンオーバーを全くしないのは本当にすごいことだ。今までにそんな選手はいたんだろうか? それを彼は当たり前のようにやっているんだから驚くしかないよ」と語る。しかし、ポールがプレーオフで『15得点以上、15アシスト以上、ターンオーバー0』を記録したのはこれで3度目だ。2008年のニューオリンズ・ホーネッツで、2014年のクリッパーズで、そして2021年のサンズで。彼は時代を超えて、異なるチームで活躍し続けている。
それでもポールは、アシストが面白いように決まるのはチーム全体のおかげだと語る。「みんながオープンになっているから、僕のやることは簡単だ。それを見付けてパスを出すだけでいい。これはコーチングスタッフの功績で、シーズンを通して積み重ねてきたことがプレーオフで形になっている。ウチは特定の選手を探してパスを出さなくても、誰でも得点できるチームだ」
サンズはまさに絶好調だが、クリス・ポールは落ち着いたものだ。「ウチの選手たちはみんな理解しているし、(ジェイ)クラウダーは昨シーズンのファイナルを経験している選手もいるけど、僕もいつも経験を伝えようとしている。2007-08シーズン、ニューオリンズ時代の僕はスパーズを相手に最初の2試合で勝ち、そこから逆転負けを喫した。そのことを話して、プレーオフではどの試合も軽く見てはいけないと伝えたよ」
ポールはそう気を引き締めるが、これでレイカーズとナゲッツを相手の5連勝のサンズは、少しずつではあるが優勝候補と見なされつつある。ポールを中心とした攻守のレベルの高さはもちろんだが、優勝候補が消えつつあることもそれを後押ししている。前年王者のレイカーズを倒し、レブロン・ジェームズをプレーオフから退場させたことも大きい。プレーオフが始まる前のサンズは、強豪ひしめく西カンファレンスで2位の好成績を収めていてもなお、「プレーオフでの経験のないチーム」と見なされていた。その評価は間違いなく変わりつつあるが、そんな会見の雰囲気をポールは押しとどめた。「昨シーズンのナゲッツは逆転に逆転を重ねてきた。油断はしないよ」
それでも、彼自身が間違いなくポジティブだと感じているのが自分のコンディションだ。レイカーズとのファーストラウンド初戦で痛めた肩は「すごく良い感じだ。問題なくプレーできているよ」とのこと。実際、ケガの後は3ポイントシュートを打たなくなり、レイカーズとの第2戦と第3戦では1本も打たず、続く3試合では9本打って成功わずか1本だった。それがナゲッツとの2試合では5本を打って4本を決めている。まだまだ優勝までの道のりは長いが、クリス・ポールとサンズは視界良好だ。