前日の大勝からさらに進化、100点ゲームで快勝
Bリーグは開幕節を終え、各チームとも2試合を消化した。まだ始まったばかりとはいえ、順位表の一番上に位置するのは千葉ジェッツだ。開幕2連勝の6チームの中でも得失点差+67は群を抜いている。相手の三遠ネオフェニックスは昨シーズン最下位のチームであり、さらには外国籍選手の合流が遅れて『外国籍選手追加契約ルール』での2選手を急遽加えた状態で、万全とはほど遠い。
しかし問題はそこではなく、初戦での83-65の快勝に満足することなく課題を洗い出した千葉が、第2戦で修正してパフォーマンスを一段階上げてきたことだ。
初戦は第1クォーターで20-8とリードを奪い、そのまま押し切った試合だったが、「ディフェンスのディスコミュニケーションが多くて簡単にシュートを打たれていた」部分を大野篤史ヘッドコーチは見逃さなかった。第2戦ではディフェンスを徹底し直して、第1クォーターを34-13と前日からさらに圧倒。特に立ち上がりの5分は21-3と、三遠に何もさせない圧巻のパフォーマンスだった。
相手にタフショットを打たせ、リバウンドを奪った時には他の全員が走り出している。富樫勇樹が力強いボールプッシュで加速。トランジションでただ走るだけでなく、ペイント内に飛び込むギャビン・エドワーズとセバスチャン・サイズに合わせてからキックアウト、田口成浩が佐藤卓磨が迷わず放つ3ポイントシュートを決めていった。三遠としてはハリーバックする間にパスをあちこちに回され、振り回されるばかりで止めようがない。
ディフェンスからオフェンスへの素晴らしい展開で先手を取った千葉は、その後も気を緩めずにすべてのクォーターで三遠を上回り、3桁得点を奪って快勝した。大野ヘッドコーチは「前日の修正がしっかりできた、良いゲームでした。ちゃんとコミュニケーションが取れて、ディフェンスからトランジションに繋げることができました」と語る。
『アグレッシブなディフェンスから走る』を貫いて
千葉ジェッツはBリーグスタートの2016年に大野がヘッドコーチに就任してから、『アグレッシブなディフェンスから走る』を掲げ、ディテールは変えながらもこのスタイルを追求して、Bリーグ屈指の強豪であり続けている。ただ、天皇杯では優勝できているが、リーグ優勝には手が届かない。選手にもファンにも、そして指揮官にも「今度こそ」の思いがある。
今オフにはセバスチャン・サイズを獲得。サイズは初戦で15得点12リバウンド、第2戦では28得点19リバウンドと、高い期待のさらに上を行くプレーを見せている。ギャビンが帰化選手登録となったことも含め、過去最高の戦力が整った。
「まだ始まったばかりなので手応えはないですし、戦力が揃えば勝てるのかと言えば、そうは思っていません。しっかりとチームケミストリーを作るために、自分もしっかり指導しなきゃいけないという責任感でいっぱいです。このスタイルを貫くために5シーズンやっていますし、そのための入れ替えもGMが決断してくれました。自分たちのスタイルを貫けるように1シーズンやっていきたいと思います」
大野ヘッドコーチはそう語るが、その責任感がチームをさらに強くしていく原動力となる。そのモチベーションをさらにかきたてるのがブースターの存在だ。最初の2節はアウェーゲーム。船橋アリーナでの試合はまだしばらく待たなければいけないが、新型コロナウイルスの影響を乗り越えて新たなシーズンが開幕し、ファンの前でバスケットボールができる喜びを選手たちは感じ、それが新たな責任感にもなる。
大野ヘッドコーチは言う。「お客さんに入ってもらって僕たちは成り立っていますし、お客さんの前で良いプレーをしなきゃならないという責任感もあります。ホームに帰れば、より一層その気持ちが強くなると思っています。ただ、ジェッツだけじゃなくBリーグ全体でこうやってゲームがやれているので、もっともっと応援してもらえるリーグになれるように、僕たちも尽力していきたい」
勝って兜の緒を締めよ。千葉はブレることなく自分たちのスタイルを突き詰めている。充実した戦力を持つ千葉ジェッツには、良いケミストリーがすでに見えつつある。このまま突き詰めていけば『過去最強のジェッツ』が見られるに違いない。