中心選手2名を欠くも最後まで琉球に食い下がる

群馬クレインサンダーズは329日、30日とアウェーで琉球ゴールデンキングスと対戦。天皇杯チャンピオンの強みであるゴール下の強力なアタックを抑えきれず、68-8764-73と連敗を喫した。強豪との試合が多いタフな日程だったとはいえ、群馬は46敗と負け越して3月を終了。千葉ジェッツと順位が入れ替わり東地区3位に後退した。

序盤の快進撃と比較すれば、今の群馬は停滞しているように見えるかもしれない。だが、この週末の琉球戦に関して言えば、内容は決して悪くなかった。

ここまでチームトップの平均得点とアシストを挙げているトレイ・ジョーンズが2試合とも欠場し、ゲーム2ではチームトップのリバウンド数を誇るヨハネス・ティーマンも欠場。スモールラインナップでの戦いを余儀なくされる中、コートに出ている5人全員がタフにプレーし、終盤まで食い下がった。野本建吾、菅原暉、浅野ケニー、八村阿蓮といったベンチメンバーや若手のハッスルプレーも光っていた。

カイル・ミリングヘッドコーチも、2試合を通じての選手たちの奮闘を次のように評価している。「全体的に見ても良い戦いでした。何人かプレーできない状況でしたが、多くのファンの方が沖縄まで来てくださる中、ファイティングスピリットを見せることができました。最終的に琉球さんがビッグショットを決めてああいう形になったのは残念でした」

2試合目の群馬は、3ポイントシュートが35本中6本成功に終わったのも痛かった。しかし指揮官は、インサイドの駒不足の中、シュートタッチが悪くても打つべきタイミングで打ち続けたことを「こういうチャレンジが必要な試合では、選手たちの内面的なものがより現れます。そこでシューターたちはプライドを見せてくれました」と振り返っている。

3連敗を喫し、千葉Jに東地区の順位で逆転されたのはまぎれもなく大きな後退だ。だが、長いシーズンにおいて浮き沈みは避けられない。故障者という想定外のアクシデントの中でも、強い気持ちで自分たちのやるべきことを遂行できたことに指揮官は手応えを得ている。

Bリーグにおいて外国籍の選手の欠場は、日本人選手のそれよりも大きな穴になってしまいます。その中で、これだけできたのは良かったです。最近、ディフエンスがちょっと良くないですが、必ず上がって来られると思っています」

広島で下剋上Vを達成した指揮官にあせりはない

千葉J、琉球で2度のリーグ優勝を成し遂げるなど、勝利の味を知っている1人であるコー・フリッピンは言う。「今回のように、主力に故障者が出る状況は起こりますし、これから先も何が起こるのかは分からないです。大事なのは、こういった機会から学ぶことです」

フリッピンはチームの現状についてこう語ると、1試合の勝ち負けにより多くのプレッシャーがかかるこれからの戦いを、次のようなメンタルで臨みたいと続ける。

「今は若い選手、普段プレータイムがそこまで多くない選手の出番も増えています。その中でしっかりと楽しんでプレーすることが一番大事だと思っています。そしてオフコートでは、あまりネガティブなことばかりにフォーカスしない。マインドセットがネガティブだと、プレーが良いものにならないと思っています」

昨シーズン、広島ドラゴンフライズで指揮をとったミリングヘッドコーチは、ワイルドカードからチャンピオンシップに出場すると、破竹の快進撃で下剋上のリーグ優勝を達成。シーズンクライマックスに向け、どのようにチームの状態を上げれば良いのかを熟知している。当然「まだ13試合と、自分たちにとって多くの試合が残っていると感じています」とあせりはない。

指揮官は4月のタフな戦いへの意気込みを語る。「まずは、シーズン終盤に選手がヘルシーな状態でいることが大切です。おそらく琉球はリーグベストのチームの1つで、その相手にメンバーが足りない中でも良い戦いができました。今回のような戦う気持ちを出し、インテンシティの高いプレーを続けることで、チャンピオンシップに繋げていきたいです」

今の群馬は故障者が出て連敗中と、状態は良くない。だが、この苦境の中でも選手たちはチーム一丸となり、集中力を切らさずに自分たちのできることをしっかりと継続した。これは間違いなくポジティブな材料だ。今週末のような戦いを継続できれば、必ずチームが上昇気流に乗るチャンスは来る。