前半は好調だった藤井祐眞を密着マークで抑え込む

3月30日、琉球ゴールデンキングスはホームで群馬クレインサンダーズと対戦し、試合を通じて強度の高いプレーを遂行することでロースコアの戦いを73-64で制した。これで琉球は前日に続いての同一カード連勝を達成している。

群馬は前日のトレイ・ジョーンズに続き、ヨハネス・ティーマンも欠場となったが、序盤からスモールラインナップで激しく平面のプレッシャーをかけた。攻撃では藤井祐眞がタフショットを続けて沈めたことで、第1クォーターで22-12とリードを奪う。

しかし、琉球はここで慌てずに、強度の高いディフェンスを継続することで流れを引き寄せる。攻撃をクリエイトする選手に欠ける群馬を第2クォーターと第3クォーターで合計16失点に封じ込んで逆転し、第4クォーターも常にセーフティリードを保った。

琉球の勝因はディフェンスに尽きる。群馬の3ポイントシュートが35本中6本成功と不発だったことに助けられはしたが、ケーレブ・ターズスキーのミドルジャンパー以外は抑え込んだ。

この堅守のトーンをセットしたのが小野寺祥太だ。特に大きかったのは前半は好調だった藤井を、後半の頭から小野寺が密着マークにより仕事をさせなかったこと。エースキラーの本領を発揮して逆転勝利に貢献した小野寺は、「2戦目で本当にタフな試合になる中、出だしの第1クォーター、インサイドを狙いすぎて重いオフェンスになってしまいましたが、後半はトランジションも出せた部分が良かったと思います」と試合を振り返る。

そして、自身のディフェンスへの手応えをこう語る。「良い状況判断ができていて、ファウルトラブルにもならずイージーレイアップを打たせない、ミスマッチを突かれたり、相手のトランジションになった時に効果的にファウルを使えています」

勝って兜の緒を締める「山あり谷ありがあってほしい」

小野寺は顔の負傷によるフェイスマスクを着けてプレーしている。慣れない装着具をつけてのプレーも試合を重ねるごとに違和感がなくなっていくと思いきや、逆の現象が起こっているようだ。「最初は違和感がなかったのが、徐々に感じるようになりました。洗うこともできないので、お湯につけていたらキツくなってきたりしました(笑)。難しい状況ですが調整しながらやっています」

小野寺にとって群馬戦は、同じ岩手出身で幼馴染の菅原暉との対決でもあった。「楽しかったです。小さい頃から知っていて、ミニバスの頃から活躍している選手です。昔は僕が、年上の知っている選手と一緒にコートに立つことを目指していたのが、今は逆の立場になっていて。また、細川(一耀)選手も岩手出身で、高校の時から知っているのでマッチアップできて楽しかったです」

これで琉球は、天皇杯優勝からリーグ戦で6連勝。シーホース三河に続いて群馬とチャンピオンシップ出場圏内の相手に連勝を達成している。小野寺は「まずはチームとして天皇杯を取れたことが本当に大きいです。その前のEASLで負けて雰囲気があまり良くなかったのが、天皇杯優勝から個々のアグレッシブさが出ています。これをチーム全体で続けていきたいです」と好調を語る。

ただ、今の勢いをキープすることだけを考えているわけではない。桶谷大ヘッドコーチは「逆に山あり谷ありがあってほしいです」と強調する。「チャンピオンシップは簡単な場所でなく、逆境に立ち向かう場所です。だからこそもう一回、波があってほしい。もちろん勝ち続けるのは良いことですが、それが過信になった時にチームはおかしくなってしまう。谷を経験し、もう一度チームを立て直して良い形でチャンピオンシップに入れたらなと思います」

小野寺も指揮官と同じ気持ちでレギュラーシーズン終盤を戦っている。「油断はできません。これから島根とのアウェーゲームもあります。天皇杯に優勝したからといって、リーグで簡単に優勝できるわけではない。今日は最後にターンオーバーが続いてしまい、そこはチームとして引き締めないといけないと感じています」

勝って兜の緒を締める。その重要性を熟知する指揮官とキャプテンの下、琉球はさらなる進化への危機感を持って4月を迎える。