ライアン・ダン

「負ければイライラするけど、まだ試合が残っている」

現地3月30日のロケッツ戦で、サンズは109-148の大敗を喫した。プレーオフ進出に向けて手痛い1敗であると同時に、4連勝でようやくチームが最適な攻守のバランスを見いだしたと思ったところからの3連敗であり、ケビン・デュラントをケガで失うという、様々な意味で重い敗戦だった。

後半開始5分、デュラントはドライブで仕掛けた際、大きく踏み出した左足が相手選手の足に乗り、左足首を捻挫した。これは相手のファウルと判定されたものの、デュラントはそのフリースローを打つことができず、足を引きずりながらロッカールームに下がった。この時点で58-92と34点差がついており、デュラントにアクシデントがなくても敗戦は避けられなかっただろう。

デュラントは1週間後に再検査を受ける予定。ここからバックス、セルティックス、ニックスと強敵相手のアウェー3試合をエース抜きで戦うことになる。

プレーオフに向けてデュラントがケガを治し、どこまでコンディションを取り戻せるか──と言いたいところだが、実際のところサンズにその余裕はない。現在35勝40敗で西カンファレンス11位、プレーイン圏外に位置しているからだ。

10位キングスとは1ゲーム差、9位マーベリックスとは1.5ゲーム差。今シーズンのNBAで最高額となる2億2000万ドル(約340億円)のサラリーを支払うサンズが、シーズン途中にエースを放出し、チーム作りをやり直したマブスとキングスをとらえるのに四苦八苦している。

デュラント不在のアウェー3試合は東カンファレンスの強豪ばかり。その後も勢いのあるウォリアーズにリーグ最高勝率のサンダー、スパーズ戦を挟んで最終戦は敵地でキングスとの直接対決となっている。サンズにとってはプレーオフ同然の『負けられない戦い』がすでに始まっており、だからこそチームの自信が連敗で揺らぎ、そこにデュラントの離脱が重なったのは大きな痛手なのだ。

チームには重苦しい空気がただよっているが、それでも前向きに挑戦する気持ちを失っていないのはルーキーのライアン・ダンだった。「デュラント抜きでどう戦うか」を問われたダンは「敵地での3連戦とは考えない。目の前のバックス戦だけに集中するよ」と答えた。

「KDがすぐ戻って来るのがベストだけど、そうじゃなくても別の選手がいつも以上にアグレッシブに攻める。そうやってまずは1勝を収めて、またその次の試合に集中する。そうやって進んでいきたい」

22歳の彼は静かに、そして力強く、戦う決意を語った。「苦しい戦いになるのは承知の上だよ。落ち込みすぎるのではなく、その中からポジティブな要素を見つけながら前進しなきゃ。ひどい試合をすればイライラするけど、まだ試合が残っているのはポジティブなことだよね。僕は全力で戦い続けるし、楽しみながらプレーする。高いレベルで競争して勝利を目指す。勝つ時も負ける時もあるけど、大事なのはそういう姿勢だと思っている」