松井啓十郎が語るバスケ部時代vol.4「ハードワークもただこなすだけではダメ」

2016/07/01
日本代表
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文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

『バスケット・グラフィティ』は、今バスケットボールを頑張っている若い選手たちに向けて、トップレベルの選手たちが部活生時代の思い出を語るインタビュー連載。華やかな舞台で活躍するプロ選手にも、かつては知られざる努力を積み重ねる部活生時代があった。当時の努力やバスケに打ち込んだ気持ち、上達のコツを知ることは、きっと今のバスケットボール・プレーヤーにもプラスになるはずだ。

PROFILE 松井啓十郎(まつい・けいじゅうろう)
1985年10月16日生まれ、東京都出身のシューティングガード。クイックリリースで放つアメリカ仕込みの3ポイントシュートでチームを勢い付けるシューター。2015-16シーズンのNBLでの3ポイントシュート成功率は2位以下に圧倒的大差を付ける44.8%だった。

人と同じことをやっていても突き抜けられない

小さい頃からNBAは見ていました。じゃなきゃNBA中継の解説はできないです(笑)。マイケル・ジョーダンから入ったので、昔はやっぱりブルズでしたね。今はいろんなチームの好きな選手を見ています。

10代の頃はNBAの真似もよくやりました。ジョーダンのパスとかフェイダウェイとか。ブルズのBJ・アームストロングがコーナーから3ポイントシュートを打つ流れをイメージしたりしていました。僕は本能でプレーするのではなく、考えてプレーするタイプです。本能でプレーする選手は感覚がすごく優れているのですが、僕はそういうタイプではありません。

NBAを見ていてバスケットIQが高いと思うのはクリッパーズのJJ・レディックですね。大学の頃から見ていますが、サイズも運動能力もなくてシュートだけ、みたいな選手で、自分も参考にしています。あとはダーク・ノビツキーとか、ちょっと前だとレイ・アレンも。基本は自分と同じシューターを見ています。今はクレイ・トンプソンとかカイル・コーバーですね。

練習がキツかったり、思うように行かない時期もありましたが、それでもここまでバスケを続けられたのは、夢があったからじゃないですかね。アメリカに行ったのもNBAでプレーしたいという夢があったからです。親が期待してアメリカに行かせてくれて、その期待に応えたいという気持ちが自分の中にありました。それがずっとあるからこそ、ハードワークできたのかなと思います。目標がないのでは、「何のために頑張るのか」という話になってしまうので。

あとはディシプリン(規律)があるかないかですね。いくら能力があっても、ディシプリンがなければハードワークはできないです。ハードワークでもただこなすだけではダメですよね。ちゃんとした意識がなければ、「今日も頑張った」というだけで終わってしまいます。

バスケで本気でプロを目指すのであれば、努力するのは当たり前であって、人と同じことをやっていても突き抜けることはできません。その人に合った練習方法があるので一概には言えませんが、日々の練習の中で、自分は何が良いのか、何が悪いのかを見つめながらやっていく必要があります。

部活って、みんな一緒のメニューをこなしますよね。それをただ淡々とこなすだけじゃなくて、そこから先、もっとうまくなるにはどうすればいいかは自分で考えないと。それができるかどうか。

ただコーチに言われたことをやるだけではロボットと変わりません。やはり自分で考えながら練習していかないと、うまくはならないです。これはバスケに限ったことではないですよね。社会人になっても、上司に言われたからこれをやる、ってだけじゃなく、自分で考えてやっていくのが大事なんだと思います。

現役プレーヤーに向けて松井は「みんなと同じメニューを淡々とこなすだけでなく、そこから先は自分で考えないといけない」とメッセージを送った。

バスケット・グラフィティ/松井啓十郎
vol.1「小学生でマイケル・ジョーダンと対決!」
vol.2「アメリカで揉まれて身に着けたスタイル」
vol.3「シュートは毎日400本から500本は打った」
vol.4「ハードワークもただこなすだけではダメ」