
慣れないハンドラー役を無難にこなす「楽しみたい」
現地7月10日、NBAドラフト全体1位指名選手のクーパー・フラッグがマーベリックスでのデビューを果たした。ラスベガスでのサマーリーグの開幕戦となったレイカーズ戦、フラッグはポイントガードとして先発出場し、32分の出場で10得点6リバウンド4アシスト3スティール1ブロックを記録した。
マブスの指揮官ジェイソン・キッドは、フラッグを1位指名した時点で「ハンドラーとして経験を積ませたい」と語り、サマーリーグで指揮を執るジョシュ・ブログマーもその起用法を採った。レイカーズ守備陣は彼にブリッツを仕掛けたり、マークについたブロニー・ジェームズがフィジカルとフットワークを生かした粘り強いマンマークをしたりとマブスのキーマンを止めにいった。それでもフラッグは体格を生かして相手のプレッシャーからボールを守り、シンプルかつ素早い判断でパスをさばいて及第点以上のプレーメークを見せた。
しかし、試合後のフラッグは「人生最悪レベルの試合かも」と語る。それはジャンプシュートがとにかく決まらず、フィールドゴール21本中5本成功(23.8%)、3ポイントシュートは5本打ってすべて外したからだ。「本来のレベルのプレーができなかった。新しい環境、新しいチームだったから仕方ない。チームメートが素晴らしいプレーで僕を支えてくれたのに、僕はベストじゃなかった。でもここから立て直すよ。前進あるのみだ」
シュートタッチが悪かったことでハーフコートオフェンスでは苦戦した。プレーメークはまずまずの出来。一方で良かったのはトランジションでの爆発力だ。最初の得点はスティールからの速攻で豪快なダンクを決めたもの。ボールを奪った時点ではワンマン速攻に行けるか微妙だったが、その体格で相手ディフェンスにリムへのコースをふさぐことを許さなかった。
「シュートは決まらなかったけど、そういう日もある。まずはシュートが不調だった原因を探りたいけど、新しい経験から学ぶだけだ」とフラッグは言う。
「ボール運びは慣れていないし、オールコートでディフェンスに当たられるのも初めての経験だ。試合から遠ざかっていたから少し疲れてもいる。でも、対処するだけだ。それが何であれ、新しいことに挑戦するのは楽しいよ。僕はここにいられて幸せだし、この瞬間を楽しみたい」
フラッグとバックコートコンビを組んだのはライアン・ネムハード、プレーオフでの活躍が記憶に新しいペイサーズのアンドリュー・ネムハードの弟だ。シュート不調のフラッグをカバーするように積極的に攻めてチームトップの21得点を挙げ、マブスの87-85での勝利に貢献。そのネムハードは、自分の活躍には手応えを感じていても「フラッグが相手の注意を引き付けてくれたおかげで僕らはプレーしやすかった。でも、彼を十分にサポートできなかったと思う。次のプレーではもっと彼を助けたい」と反省を語った。
フラッグは新シーズンが開幕する時には適正ポジションのスモールフォワードを務めるはずで、新戦力のディアンジェロ・ラッセルが先発ポイントガードを務めるだろうが、ハンドラーの経験はポジションがどこであれ必ず役に立つ。また2ウェイ契約のネムハードにとっても、新シーズンにプレータイムを得るためにサマーリーグでアピールが必要となる。
フラッグに注目が集まるのはもちろん、良いコンビとなりそうなネムハード弟も注目に値する。マブスはそれぞれ中1日を置いてスパーズ、ホーネッツと対戦する。