
「目の前の試合で最善を尽くし、成長を目指す」
ホーネッツは開幕からの3カ月で16勝28敗と勝率5割を大きく下回り。その途中では指揮官チャールズ・リーとエースのラメロ・ボールの不和が噂され、そうでなくともトレードデッドラインで主力の数人をドラフト指名権と交換するのではないかと予想されていた。
だが、そこからの2カ月でホーネッツは21勝6敗と勝ちまくっており、プレーイン圏内ではあるが、東カンファレンスの中位グループでは最も勢いがある。その一方で、若いチームだけに勢いに乗った時の爆発力はあっても、一つ問題が起きればガタガタと崩れるのではないかという見方もある。プレーオフに進出し、そこで勝てるチームかどうか──。現地3月26日のニックス戦は、ホーネッツの実力が本物かどうかを試す絶好の機会となった。そこで彼らは、フルメンバーかつ7連勝中のニックスを終始圧倒して114-103で勝利した。
第1クォーターはジェイレン・ブランソンに17得点を許したが、その後は9得点に抑え込んだ。第1クォーターも38-36とホーネッツが上回り、その後の3クォーターでの失点は67のみ。ニックスの武器であるフィジカルを前面に押し出す強烈なディフェンスを自分たちが遂行し、ブランソンを抑え込む。指揮官リーは「ディフェンスの努力が素晴らしかった。試合が進むにつれてフィジカルの強さが増し、序盤に出たコミュニケーションミスも試合の中で解消された」と、ディフェンスの勝利であることを強調した。
ホーネッツが終始圧倒して快勝したこと以上の驚きは、試合終盤にシャーロットのファンが作り出した熱狂的な雰囲気だろう。ニックスは全国区の人気クラブで、この10年間でスペクトラム・センターが『ニックス一色』に染まることが何度もあった。だが、今回は違った。
終盤まで主力を下げることなく逆転の糸口を見いだそうとするニックスは、ジョシュ・ハートの連続3ポイントシュートで食い下がる。残り1分、ホーネッツはラメロとマイルズ・ブリッジズの3ポイントシュートがリングに嫌われるものの、オフェンスリバウンドを2度奪ってポゼッションを維持した。もう足の動かないニックスに対し、出足の鋭さでクラッチリバウンドを取る若き選手たちに、シャーロットのファンは大盛り上がり。サードチャンスでブリッジズがリムに突進した時点で、彼らはビッグプレーの予感で総立ちとなり、ブリッジズは豪快なトマホークダンクでその期待に応えた。ホーネッツのファンが大喜びする一方で、すでに帰り支度を始めていたニックスファンは一斉に席を立った。
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— Charlotte Hornets (@hornets) March 27, 2026
ブランドン・ミラーは、試合後も興奮が収まらなかった。「今日の勝因は僕たちのペースに相手を巻き込めたことだ。そしてファンに感謝を伝えなければいけないね。シャーロットのファンの歓声がニックスファンを圧倒するなんて、今までになかったことだ」
そう語る彼も、ファンの興奮を煽った一人だ。第4クォーター中盤に彼が決めたダンクで、観客は一気にヒートアップした。同じ2点ではあっても、ダンクにはそういう力がある。「歓声がすごすぎて自分が何を考えているのかも分からなくなった。ただ『守備に戻らなきゃ』だけを考えていたよ。あの激しさでプレーできるのは、ファンの後押しあってこそだ。特にこの長いシーズンを戦う上では大きな力になるよ」
コン・クヌッペルはブランソンと並んでゲームハイの26得点、さらには11リバウンド8アシストとトリプル・ダブル級の活躍を見せた。ルーキーの彼は82試合のシーズンを初めて戦っており、今は腰の痛みを抱えながらのプレーを強いられている。「完治せずに長引くケガにはイライラさせられる。プレーできないほどじゃないけど絶好調とは言えない。でも、そのケガと付き合いながら結果を出すんだ」と彼は言う。
ミラーが言った「自分たちのペースに巻き込む」とは、ベテラン揃いでハーフコート主体のバスケをするニックスを走る展開に引きずり込むことで、ブレイクの起点となるラメロ、そこから良い攻めを展開するクヌッペルの2人は最高の仕事をした。指揮官リーが「クヌッペルがただのシューターと見られているのは間違っているよ」と語ったように、ニックスの仕掛けるダブルチームをラメロだけでなくクヌッペルもかわせることで、パスがスムーズに回った。
さらにブリッジズがサイズのミスマッチを突くポストアップからイージーな得点を何度か決めたことで、こちらにもダブルチームを送らざるを得なくなったニックスの守備は後手に回ることに。ホーネッツのスピーディーな攻めばかりが際立つ展開が生まれた。
プレーオフ進出が現実的となってきたが、クヌッペルは「目の前の試合に勝つというメンタリティだけでやっている。先のことを見すぎず、終わった試合にも執着しない。そうすることで精神的なバランスは保てる」と平常心の秘訣を明かす。
「それと同時に、自分たちのやっていることが間違っていないという自信は高まり、チームとしてのアイデンティティが確立されつつあると感じているよ」と彼は言った。「一度だけチームミーティングで、長らく遠ざかっているプレーオフに進出することの意味について話し合ったことがある。でも、目の前の試合で最善を尽くし、その中での成長を目指すことに変わりはない。そのマインドセットが僕らを一番良い場所に連れていってくれると思っている」