
ポゼッションペースの高いクラブから選出
B1は11月16日までに11節を消化して18試合が行われた。レギュラーシーズンの約3分の1が終了し、各部門のスタッツリーダーに注目した。
得点部門では大阪エヴェッサのマット・ボンズと富山グラウジーズのトレイ・ケルが1試合平均23.9得点で同率のトップに。ボンズは2021-22シーズンから長崎ヴェルカに所属し、2022-23シーズンにはB2で得点王にも輝いた。今シーズンは11月9日に行われた滋賀レイクス戦でBリーグでのキャリアハイとなる33得点を記録するなど攻撃の中核を担っている。特にペイントエリアでの得点が増加しており、昨シーズンは60試合で平均3.9本だったのに対して、今シーズンは18試合を終了した時点で平均6.2本とほぼ倍増している。大阪はポゼッションペース(1試合の平均ポゼッション数)がリーグのトップファイブに入っており、攻撃回数の多さも影響していると考えられる。また、ボンズはリバウンド、アシスト、スティールでもチームトップの成績を記録しており、彼の活躍は大阪の浮上に必要不可欠と言える。
ケルは今シーズンから富山に加入したシューティングガード。昨シーズンはオーストラリアのNBLで32試合に出場し、平均32.1分のプレータイムで17.7得点、5.0アシストを記録。得点とアシストの両方でチームトップの活躍を見せ、NBLオールファーストチームにも選出された。11月8日に行われた横浜ビー・コルセアーズ戦では44得点を叩き出し、これはBリーグで1試合での個人得点数9位にランクインする記録となった。ケルの最大の特徴はフリースローのアテンプトの多さだ。ここまで155本のアテンプト(平均8.6本)を記録。これは2位の京都ハンナリーズのチャールズ・ジャクソンの115本を大きく上回っている。それに加えて成功率は89.0%と高い確率で決め切っていることからも、容易にファウルで止めてはいけない選手であることを表している。富山はポゼッションペースでリーグトップで、昨シーズンのB1得点王のブロック・モータムとともに攻撃を牽引している。
得点ランキングトップ10
マット・ボンズ(大阪エヴェッサ)23.9
トレイ・ケル(富山グラウジーズ)23.9
ジュレット・カルバー(仙台89ERS)23.7
セクー・ドゥムブヤ(越谷アルファーズ)20.6
スタンリー・ジョンソン(長崎ヴェルカ)20.5
D.J・ニュービル(宇都宮ブレックス)20.2
クリストファー・スミス(広島ドラゴンフライズ)19.3
ダバンテ・ガードナー(シーホース三河)19.1
タナー・グローヴス(佐賀バルーナーズ)18.7
イ ヒョンジュン(長崎ヴェルカ)18.3
※りそなグループ B1リーグ戦の85%以上出場の選手が対象

日本を代表するシューターに衰えは見えない
3ポイントシュート成功率で1位を走っているのは、今年で36歳を迎えた佐賀バルーナーズの金丸晃輔だ。誰もが知る日本を代表する3ポイントシューターで、2016-17シーズンにはベスト3ポイントシュート成功率賞に輝き、ベストフリースロー成功率賞には4度、レギュラーシーズンベストファイブは5度受賞、そして2020-21シーズンにはレギュラーシーズン最優秀選手賞も受賞している。今シーズンはここまで平均11.6得点、3ポイントシュートのアテンプト数は2021-22シーズン以来となる5本以上をキープして、11月9日の大阪エヴェッサ戦では3ポイントシュート成功本数をB1通算900本の大台に乗せた。衰えを知らないシューターは佐賀でオフェンスのファーストオプションとして考えられていることも多く、チームの日本人トップの得点数を挙げている。宮永雄太ヘッドコーチが提唱する『連動性』を重視したバスケットが浸透しつつあり、アシスト数で首位を走る長崎ヴェルカに次ぐ、平均23.3本を記録していることも、シューターの金丸にとってはプラスに働いていることだろう。
これからシーズンは中盤に入り、このバイウィークで各クラブがオフェンスのファーストオプションとなっている選手に対して対策を練っていくことが予想される。また、今回紹介した選手が所属するクラブは勝利数で苦戦を強いられているため、彼らが各クラブの対策をはねのけ、今まで以上にオフェンスを牽引していけるのか楽しみにしたい。
3ポイントシュート成功率トップ10
金丸晃輔(佐賀バルーナーズ)51.6%
篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)49.1%
イ ヒョンジュン(長崎ヴェルカ)48.4%
メイヨニック(広島ドラゴンフライズ)46.8%
ジェレミー・ジョーンズ(ファイティングイーグルス名古屋)46.7%
金近廉(千葉ジェッツ)45.9%
遠藤祐亮(宇都宮ブレックス)45.2%
トレイ・ジョーンズ(群馬クレインサンダーズ)43.9%
津屋一球( 三遠ネオフェニックス )43.2%
ネイサン・ブース(仙台89ERS)42.9%
ジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)42.9%
※りそなグループ B1リーグ戦の85%以上出場、かつ、B.LEAGUE B1リーグ戦での1試合平均3Pシュート成功数1.5本以上の選手が対象