大塚裕土

「レギュラーシーズンとはまた別の良いところを作れました」

1月7日、『第101回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会』のファイナルラウンド2回戦が行われた。B1同士の対戦となったアルティーリ千葉と島根スサノオマジックの試合は、最後までディフェンスが崩れなかったA千葉が78-62で快勝した。

両チームは1月3日、4日とA千葉のホームで対戦(1勝1敗)し、今回は外国籍のベンチ登録2人のオン・ザ・コート1とレギュレーションがいつもと違うが、5日間で3試合目の対戦となった。その中で、島根は年明け早々に契約合意を発表した帰化枠のムッサ・ダマが、この試合でスタメンとして待望の島根デビューを飾る。しかし、半年以上にわたって実戦を離れていた影響は大きく、序盤からミスが続くなど7分35秒のプレーで0得点3リバウンド3ターンオーバーとほろ苦いデビューとなった。

A千葉は出だしから強度の高いディフェンスで流れを引き寄せリードを奪う。だが、自分たちのシュートタッチも良くない中、第2クォーターに入ると島根のエース岡田侑大にこのクォーターだけで12得点の爆発を許し、互角で前半を終える。

後半に入っても我慢の展開は続くが、A千葉は第3クォーター終盤にかけて巧みな連携によるパスワークで島根ディフェンスを崩して連続得点に成功。残り4分から11-2のランを生み出し、2桁リードを奪う。第4クォーターに入ってもA千葉は最後まで高い集中力でディフェンスを継続し、危なげなく逃げ切った。

A千葉のキャプテンを務める大塚裕土は「(Bリーグと違う)レギュレーションで日本人が4番ポジションをやらないといけないこともある中、昨日の試合で自分たちの強みを新しく出せたりしました。新しい布陣の中でコミュニケーションもよく取れていて、レギュラーシーズンとはまた別の良いところを作れました」と試合を総括。前日に試合を行なったことで、天皇杯独自のルールへのアジャストに手応えを得ている。

この試合、大塚のプレータイムは9分23秒で0得点と、スタッツ面では目立つことはなかったが、チームの潤滑油としてしっかりと役割を遂行した。「3ポイントはもちろんですけど、ツーガードでやっていることが多いのでスペーシングが悪い時にアライメント(ポジショニング)を整える。ピック&ロールの時だけでなく、オフボールのスクリーンを増やすことなどを提示できればと思ってプレーしています」

大塚裕土

「一発勝負で負けたらどうしようというプレッシャーはない」

今シーズン限りでの引退をすでに表明している大塚にとって、もちろん今回は現役最後の天皇杯となる。Bリーグにおいてはまだまだシーズン中盤で引退を意識することはないが、「天皇杯は最後となり、そこにはもちろん強い思いがあります。また、学生時代は(今回の会場)代々木第二でよく試合をしており、代々木第一も含めてこのエリアでできることを非常にうれしく思います」と、いつもとは違う思いも抱いているようだ。

大塚は川崎ブレイブサンダース時代の2021年に天皇杯優勝を経験し、決勝の宇都宮ブレックス戦では8得点を挙げる活躍を見せた。「川崎での優勝は、良い経験をさせてもらいました。あの光景を現役最後に再び見ることができれば素晴らしい思い出になります」と強い思いを語る。ただ、同時に「一発勝負で負けたらどうしようというプレッシャーはないです。僕らはチャレンジャーですし、皆さんも優勝候補と見ている訳でないと思います。そこは川崎の時とは違う緊張感だと思います」と、自然体で臨んでいる。

今回の島根戦に続き、明日のベスト8で対戦する三遠ネオフェニックスもBリーグではA千葉より成績上位で、大塚は「しっかりと胸を借りて挑んでいきたいと思います」とアンダードッグの姿勢を強調する。そして大方の下馬評を裏切るサプライズを起こしたいと熱い思いを抱きつつ、平常心で大塚は自身のキャリアにとって特別な節目のコートに立つ。