「余裕はなくて、なんとかやるしかない状況でした」

『第92回皇后杯全日本バスケットボール選手権大会』のファイナルラウンド2回戦が1月6日に行われた。優勝候補の一角であるデンソーアイリスは東京医療保健大と対戦、今シーズンの大学王者の粘りに苦しめられたが81-76と競り勝った。

試合の出だしは、ともに相手の激しいディフェンスに苦しんでロースコアで始まる。しかし、デンソーは中心選手である髙田真希、赤穂ひまわりが優れた個の打開力と決定力を発揮することで、徐々に突き放し前半で2桁のリードを奪う。

後半に入ってもデンソーの流れは続くが、第4クォーターの残り5分から、この試合で8本のオフェンスリバウンドを含む17リバウンドを挙げたロー・ジョバを筆頭とした東京医療保健大のセカンドチャンスから点を取る粘り強いオフェンスの勢いに飲まれ、残り2分で2点差まで肉薄される。だが、ここから川井麻衣が守備の隙を突いて2本連続でレイアップシュートを決めると、さらに残り41秒には髙田がリードを3ポゼッションに広げる3ポイントシュートを沈めて激闘に終止符を打った。

赤穂はフィールドゴール11本中8本成功の20得点7リバウンドを記録。高確率で沈めたシュートに加え、最後に髙田が決めたダメ押しの長距離砲に繋がったオフェンスリバウンド奪取と、文字通りチームを勝利に導くパフォーマンスだった。

赤穂は「相手に勢いがある中で、勝てたのは良かったです。改善しないといけないのはオフェンスというよりもディフェンスとリバウンドで、次に繋げられるように修正していきたいです」と試合を振り返る。

そして「学生チームだからやりにくいということはなかったです」と続け、次のように反省する。「トーナメントの初戦が難しいのはみんな経験があるのでわかっています。その上で、試合の入りというよりも、試合を通して流れが悪かったです。今日の試合は悪いところがわかりやすくて、そこを修正できるか、できないかでした。できなければ負けてしまう。余裕はなくて、なんとかやるしかない状況でした」。

「どんな試合であっても泥臭く戦って、一点でも勝てば良い」

具体的に悪かったところを赤穂は「特にルーズボールで、相手のほうがボールへの執着心は強かったです。ここで負けるということは、今後なくしていかないといけないです」と語る。最終的に勝ちきれたのは、課題を試合中になんとか修正できたからとも言えるが、「(修正を)やりきれてはいなかったですが、ただ5点差で勝てたという感じです」と満足していない。

この妥協なき姿勢は、自身に対してより強くなる。今日のデンソーは、赤穂の攻守にわたる活躍があってこそ勝ちきれた。しかし、本人は「シュートタッチは良かったのでもっとシュートを打てば良かったです。ディフェンス、リバウンドで、もっとチームを助けられました。こういう試合になっているので自分が良かったとは思わないです」と厳しい評価だ。

赤穂は故障を抱えながら昨シーズンのプレーオフを戦った影響もあって、夏の代表活動を見送った。現在もベンチスタートが示すように万全なコンディションとは言い難いが、「一つだけ言えるとしたら昨シーズンのプレーオフの時よりコンディションは良いです。日々、成長していけたら良いと思います」と改善はしているようだ。

そして先発でもベンチでも自分のやることは変わらない。どんな状況でも自分のプレーをすればチームを助けられるという自負を持ってコートに立っている。「起用法についてはあまり深く考えていなくて、出たら頑張るだけです。スタートの選手が流れを作ってくれたらもっと良くする。悪い流れで出た時でも、自分がいつも通りのプレーをすれば流れは戻ると思っています」

これからの対戦相手は、手の内を互いに知り尽くしたWリーグの相手となり一瞬の気のゆるみが命取りになる。赤穂は「負けても仕方ない、ということはない。どんな試合であっても泥臭く戦って、一点でも勝てば良いです」と気を引き締める。皇后杯の初戦はここ一番で攻守に渡って決定的な仕事を遂行できる赤穂の存在の大きさがより際立つ一戦となった。