勢力図が塗り替わる東カンファレンスで飛躍を目指す

マジックとグリズリーズの間で、デズモンド・ベインを中心とする大型トレードがまとまった。マジックはベインを獲得する見返りとして、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープコール・アンソニー、1巡目指名権4つ(2025年の16位指名権、2026年、2028年、2030年)、1巡目交換権1つ(2029年)をグリズリーズに譲渡する。

マジックは昨シーズンに47勝、今シーズンに41勝を挙げて2年連続でプレーオフに進出。いずれもファーストラウンドで敗れているが、22歳のパオロ・バンケロと23歳のフランツ・バグナー、24歳のジェイレン・サッグスと若いコアを中心にチームは成長を続けている。堅守をベースにタフに戦うスタイルは定着したが、得点力が不足し、特に3ポイントシュートによる爆発力を欠いていたマジックにとって、キャリア通算で3ポイントシュート成功率41.0%、オフェンスの起点となるベインは格好の補強となる。

セルティックスはエースのジェイソン・テイタムが来シーズン全休となる見込みで、ニックスはヘッドコーチ解任で先行きが不透明になっており、東カンファレンスは勢力図が塗り替わろうとしている。マジックはこのタイミングで再建を終え、チームに足りなかった要素を補うベインの獲得で、東カンファレンスで大きな飛躍を目指そうとしている。

マジックは2009年にNBAファイナル進出、翌2010年もカンファレンスファイナルまで勝ち進んだが、その後にドワイト・ハワードが退団すると低迷期に入る。2019年と2020年にはニコラ・ブーチェビッチ中心のチームにプレーオフに返り咲いたが、ファーストラウンドで敗退。ブーチェビッチやアーロン・ゴードンの放出で始まった再建フェイズをこれで脱したことになる。

ベインは超ビッグネームではないかもしれないが、指揮官ジャマール・モズリーの下で成熟させてきたスタイルを変えることなく、チームの弱点を解消できる補強となる。1巡目指名権を大量に手放すことになるが、ベイン獲得で勝負に出た。

一方でグリズリーズは、今シーズンはプレーオフに進出するもサンダーにスウィープ負け。ジャ・モラントとベイン、ジャレン・ジャクソンJr.のチームに限界が見えたと言っていいが、こちらもモラントとジャクソンJr.が25歳でコアは若く、ベイン放出する意図は読めない。これから今回手に入れた指名権を用いて大きな補強を行うことが見込まれ、そうでなければさらなる主力の放出で再建に舵を切る可能性もあり、今後の動向が注目される。